2011-05-15

福山哲郎事務所を訪問

今回の東電賠償問題、いまの政府案が国会で可決されてしまわずに、きちんと東電が「破綻処理」されるよう、微力を尽くしたいとおもっている。これまで選挙以外に、政治的な行動などしたことがなかったのだが、それではダメだと、今回の原発事故をみて、つくづくおもったのだ。

河野太郎氏は自身のブログで、この件について、
「地元の国会議員に、皆さんの意見をきちんと伝えてください」
と書いている。
http://www.taro.org/2011/04/post-987.php
国会議員の事務所を直接たずねるか、または電話して、議員本人ではなく秘書でいいから、このことに反対であることを伝えればいいというのだ。署名活動やデモをやるより、大勢の人が、自分の「おもい」を伝えることが、いちばん効果的であるという。

署名活動やデモとなると、手続きや段取りがめんどうくさそうだけれども、電話したり、たずねていったりするだけなら簡単だ。それに名前を書いたり、こぶしを振り上げたりするよりも、個人と直接話すというのは、僕の性にもあっている。4月の段階で、いちど電話してはいるのだけれど、今回は事務所をたずねてみることにした。

まずは烏丸通丸太町下ル大倉町にある「福山哲郎事務所」。民主党の参議院議員である福山氏は、官房副長官に抜擢され、このあいだも被災地へ、政府の名代として出かけていったり、昨日も菅首相が孫正義氏と食事するのに同席したり、菅首相の厚い信頼をうけ、活躍している若手のホープだ。

地元の事務所なら、議員がいる可能性が高いのは、金曜か月曜とのことだったので、いってみたのは金曜の夕方。福山氏は残念ながらいなかったけれど、ちょうど男性の秘書のひとがいたので、15分ほど話をした。

この秘書のひと、正木さんという名前だったが、いかにも「福山氏の分身」といったにおいのする、押し出しの強い政治家タイプ。福山氏とも、よく話しているのだろう、僕が今回の政府案に反対だということを話しだすと、それにたいして、こちらを説得するように意見を返してくるのが、政府の思考回路を知ったような気がしておもしろかった。

まず強調していたのは、
「被災者のひとたちに、一刻も早く賠償することを、第一に考えている」
ということ。

まあそれは大事なことなのだけれど、だからといって、東電を救済する必要はないわけだ。

それから
「国策として原発を推進してきたのだから、政府にも一定の責任がある」
ということ。

しかしそれによって、産官学一体となり、東電はさまざまな便宜をはかってもらい、営利企業として十分に儲けてきたのだから、事故を起こしたのなら、その儲けをきちんと吐き出すというのは、当然のことだろう。そのうえで、税金の負担をするというのは、僕も国民としてやぶさかではない。

「京都にも風力発電所をたくさんつくったけれど、ぜんぜん使い物にならなかった」
ともいっていた。

おいおい、ほんとなのか。そんなこといって大丈夫なのか。

そのうち、半ば冗談めかした口調で、
「こうなったら東電をつぶしてしまえ、という話もあるんですけどね」
というから、
「僕はまさにそうおもうんです」
といったら、そのあとの反応が、とてもおもしろかった。

まさか僕が、そう答えるとはおもっていなかったのだ。
「そこまでしろとはいっていませんけど」
くらいの返事をするとおもったのだろう。

「あなた、京都の人間として、関西電力がつぶれても大丈夫ですか」
ときくから、
「いやべつにぜんぜんかまいません」
と答えると、
「電気はどうするんですか」
という。
「日本航空がつぶれても、飛行機が飛ばないということはなかったのだから、きちんと再生機構がはいって、それなりのことをすれば、電気を止めずに東電をつぶすことはできる」
と答えると、
「それで本当に大丈夫なのか、時間をかけてきちんと考えなくてはいけない」
というから僕は、
「まさにそうやって、きちんと考える必要があるとおもうから、いまのように東電の救済をあわてて決めずに、とりあえず賠償金を払いはじめる仕組みだけつくって、東電をどうするかは、いろんな人の意見も聞きながら、きちんと時間をかけて考えてもらいたい」
といって、話が終わった。

話をしてみてわかったことは、このひとたちは、
「東京電力をつぶす」
ということについて、まったく、一度も考えたことがなかった、ということだ。

営利企業である東京電力が、払うべき賠償金が払えないという、実質的な破綻状態におちいったのだから、当然まず第一に考えてもいいはずなのは、
「東京電力がつぶれたら、どういう影響があるのか」
ということだろう。しかし、
「東京電力がつぶれると電気が止まる」
と信じ込んでいたことからわかるとおり、それについて、政府は真剣に検討していないのだ。計画停電とかのおどしをうけて、東京電力に洗脳されたのかどうかしらないが、「はじめに救済ありき」で話が進んでいるのだろう。

僕と話して、昨日は孫さんとも話して、すこしは考えを変えてくれるといいんだがな。なんちゃって。

でも菅首相、産官学を敵にまわして大立ち回りを演じるなんて、そこまで思い切るのは無理なのだろうな。

そのあとは、近くの、やはり民主党の衆議院議員、平智之の事務所にいって、おじいさんな秘書のひとに話をした。自分からも伝えるが、平氏はツイッターもやっているから、そちらからも直接伝えてくれとのことだったのだが、ツイッターの140文字なんかじゃ、何も伝えられないから、それはやめといた。