2011-04-29

池波正太郎風すきやき

昨日から「現代思想」5月号、「東日本大震災特集」を読み始めていて、それがすごくおもしろい。

「現代思想」といえば文字が小さく、小難しい文章が多く、おまけに値段が高い(1300円)という、三拍子そろってしまっているともいえる雑誌で、ふだんはめったに買わないし、たまに特集のテーマに興味があると思って買っても、読み切れずにだいたい後悔するのだけれど、やはり今回の大震災というのは、日本人にとって共通の体験だから、読んでいて「わからない」と思うことは全くない。

震災そのものというより、「原発」についての記事が多く、僕もそちらのほうがおもしろい。原発の問題というものは、これまでの日本で、薄々そうかと思っていたけれど、平時だからそれが隠されて、よく見えなかったものが、今回の事故をきっかけに、ぱっくりと口を開けて、そのどす黒い構造やら問題点やらが、はっきりと見えるようになった、というものなのだよな。

だいたい「エネルギー問題」というのは、国の政策の根幹にかかわるものだから、政・官・財の癒着の構造とか、さらにアメリカを始めとした国際社会での「核」にかんする歴史的な経緯とか、ものすごく広い問題に関係していて、それが現在進行形の体験から、一気に見通せるようになっているというところがあり、これほどわかりやすいものはない。こんな機会は願っても得られないものだから、それを不幸中の幸いと考えて、このさい徹底的に、見られるだけのものは見てみたいと思っている。

情報はいままで、ネットを中心に探していて、この「現代思想5月号がおもしろい」というのも、ツイッターから情報を仕入れたのではあるのだけれど、やはり本当に読み応えのある、おもしろいものは、きちんとお金を出すもののなかにあるのだな。まあ当たり前の話なのだが。

昨日の朝めしは、おとといの常夜鍋の、おいしい豚のだしを使ってうどん。ペーパータオルで濾しただしに塩で味を付け、コショウをふって食べる。ほんとはネギでも入れたらうまいと思うが、べつにナシでも十分うまい。

昼めしは、「アサリのぶっかけめし」。昆布だしに酒、みりん、淡口醤油で味をつけた汁で、大根とアサリを煮て、それを炊きたてのめしの上から、なみなみとかける、というもので、池波正太郎の「そうざい料理帖」に載っている料理なのだが、昨日はみりんを入れすぎて、味付け的にちょっとイマイチだった。やはり貝の淡い味は、味付けも淡くしてやらないと引き立たないのだよな。

晩めしは、これも池波正太郎が、「自分の母親が作ってくれていた」ものとして語っている、すきやき。牛コマ肉と野菜を、砂糖と醤油で味付けした水で煮る。だしも使わないし、アクも取らない。それで十分うまい。

ただほんとは、こうやって鍋で初めからいっぺんに煮てしまうのではなく、池波正太郎が「そうざい料理帖巻2」で言っているように、まず水で野菜を煮て、やわらかくなったら牛コマ肉を入れ、砂糖と醤油で味を付ける、という手順でやったほうが、ちゃんとおいしくできる。わかってはいたのだけれど、横着してこういうやり方でやってしまった。七味をふって食べるのがポイント。

酒は、奈良で買ってきた「初霞」。これはまた、いかにも「はんなり」とした、奈良、という感じの味。スルスルと飲めてしまって、昨夜は体調がよかったのか、いつも1合半くらいのところ、2合半も飲んでしまった。

今朝はゆがいたうどんに、おかかと醤油、それに七味。