2011-04-19

南部美人

昨日は大阪なんばの居酒屋で、岩手の話題の酒「南部美人」を初めて飲んだ。これがやっぱり、僕がいま飲んでいる、やはり岩手の「あさ開」と共通する味で、「アルコール感」が強めに出ている辛口なのだが、独特の甘いうまみがある。これがきっと、岩手という土地の味なのだな。

しかし日本酒というのは、ほんとにおもしろい。今かわりばんこに各地の地酒、震災以来は東北の酒を買って飲み比べているのだけれど、ほんとに千差万別、いろんな味がする。

味を構成するいくつかの要素があって、まあまだ僕は、そのすべてを自分が理解しているとは思わないけれど、まず大きいのは「アルコール感」。「いかにもアルコール」という感じの味が強いか、弱いか、ということがあって、これが強いのが「辛口」とよばれるし、そうでないのは「甘口」とか「まろやか」とかいうことになるのだと思う。

それから「コク」というべきものもあって、これは「いかにも日本酒」という感じの、風味というか、臭みというか、そういうものもあって、これが強いと「ドヤ街」的な、いかにも男っぽい感じになるし、弱まっていくにつれて、だんだん上品な感じになる。

アルコール感が強くて、コクが抑えられているというのが、いま流行りの「淡麗辛口」ということになるのだと思うけれど、これももちろん、おいしいものはおいしいが、ややおもしろ味に欠けるきらいはある。やはり「アク」的なものをどう配合するのかが、個性を決めるところがあるからな。

あと吟醸酒のような高級なものになってくると、果物のような、フルーティーな風味がしてくるわけなのだけれど、僕が買うのはだいたい2,000円前後の普及タイプなので、この味にはそれほどお目にかかることはない。

まあしかし、これ以外にも、米やら酵母やら水やらの原料や、また作り方にもよって、日本酒の味はいかようにも変わってくるのだろう。実際岩手の「南部美人」にしても「あさ開」にしても、「コク」にまったく臭みがなく、むしろ甘い感じがするというのは、たぶん何か、特別な工夫があるということなのだろうな。そういうものというのは、その土地々々で、実際それを飲む人にささえられながら、蔵元や杜氏が長い年月をかけて編み出してくるものなのだから、これを究明しだしたら、どれだけでも奥深いものになっていくということだ。

今日の昼めしは、豚肉のうどんすき。

これは池波正太郎の「そうざい料理帖」にのっていた食い物で、僕はこれを読んで以来、ちょくちょく食べるようになっているわけなのだけれど、安くて簡単でありながら、非常に満足感が高い。男性の一人暮らしのひととか、ぜひやってみてほしいと思うので、作り方をまた再び書いておくと、

鍋に水を張り、だし昆布と、酒をドボドボと入れる。

沸騰したら豚コマ肉を入れ、ちょっと煮る。

器に入れた醤油とみりんをその煮汁で割り、タレをつくる。

うどんを入れて、ほぐれたら、タレをつけて食う。

最後はタレをさらに煮汁で割り、吸物にして飲むと大変うまい。





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