2011-04-16

天龍寺湯どうふ 「西山艸堂」

今日は嵐山へ行ってきた。
桜ももう終わりだから、ちょっと見ておきたいとおもったのと、多少京都らしいものを食べて、昼酒したいとおもったのだ。

いろいろ考えて、嵐山天龍寺の精進料理を予約したのだけれど、いざ嵐山に着いてみたら、「西山艸堂(せいざんそうどう)」という、これもやはり天龍寺の境内にある湯豆腐屋を発見。これはいま読んでいる「美味放浪記」のなかで檀一雄がその湯豆腐が
「とろけるようにうまかった」
と書いているところで、せっかくだから精進料理の予約を取消し、こちらで食べることにした。

花見シーズンの土曜の昼どき、入れないかと思ったけれど、意外にすぐに座敷に案内。嵐山全体をみても、観光客は少なめで、特に外国人がほとんどいない。やはり東日本の震災の影響があるのだろう。
戦後すぐの創業で、嵯峨でいちばん古い店なのだそうだが、風情のある和風建築で、庭に面した縁側から出入りするようになっている。8畳ほどの座敷がいくつもあって、そこに二つずつ、お膳が置かれている。
メニューは湯どうふ定食3,150円のみ。だから注文を聞かれもせずに、すぐに料理が運ばれてきた。もちろん僕は冷や酒をたのんだ。

嵐山で湯豆腐を食べるのは2回目で、前よりこちらが安いのだけれど、まあ「檀一雄」のイメージがあるからかもしれないが、こちらのほうがだいぶよかった。

まずは飛竜頭。これは「ひろうす」と読みガンモドキのことなのだが、中にキクラゲやらぎんなんやら百合根やらが入ったものが、やわらかく煮られている。

ゴマ豆腐。すべすべのツルツル。

八寸。若竹の木の芽和え、小茄子の田楽、豆腐の寿司。

天ぷらが変わっていて、ししとうはまあふつうなのだけれど、それに湯葉の天ぷら。うすい湯葉がパリパリに揚がっていて、お煎餅をもっとうすくしたような食べ応えなのだけれど、こういうものは僕は今まで食べたことがない。
それからこれが一番うまかったのだが、山芋の天ぷら。すりおろした山芋を海苔で包み、それを揚げたもので、ふんわりとやわらかくて、いかにも京都の食べ物だと感動した。
あとは高野豆腐の天ぷら、これはちょっとサツマイモのようなモソモソした食べ応えで、仲居さんにきいて初めて何だかわかった。

湯豆腐は、「森嘉(もりか)」の豆腐がつかわれている。これは檀一雄が
「日本を代表する数少ない食品の一つ」
というくらいのもので、さすがに「とろけるようにうまかった」。
味が濃いのだが、ただ濃いというのでなく品がある。

青ネギにショウガ、もみじおろしの薬味も付いていたけれど、それをつかうと豆腐の味が消えてしまうので、タレだけつけて食べた。

お酒をのみ終わったらごはんにお新香。タレを湯豆腐の汁で割って吸物にする。

今回のこの西山艸堂では、湯豆腐だけでなくコースの全体が精進料理になっていて、僕にはそれがおもしろかった。

それから嵐山をぶらぶらと歩いて、桜はもうほとんど終わりだったが、春の気分を満喫した。



小腹が空いたので山菜そばをつまみにまた冷や酒をのみ、帰りに「森嘉」の豆腐と、それに佃煮だの漬物だの、京都らしいものをすこし買って帰ってきた。



西山艸堂 豆腐料理・湯葉料理 / 嵐山駅(京福)嵐電嵯峨駅トロッコ嵯峨駅

昼総合点★★★★★ 5.0