2011-04-10

けんちん汁

今日は天気がよかったのだけれど、桜はいまがまさに見頃だから、どこに行っても混んでるだろうなとおもい、僕は「南禅寺」だけは、今年もちゃんと桜をみたいとおもっているけれど、それは今週平日の、多少なりとも空いているときに行こうとおもっていて、今日は選挙へ行って、それから散歩がてら、河原町のほうまで足をのばして、ライターと、それからキセルを買ってきた。

震災の影響でいつも吸っているセブンスターがどこにもないから、試しにとおもって買ってみた「ゴールデンバット」がなかなかよくて、味もべつにまずいことはないし、だいたい値段がセブンスターの半値以下。これからこれを吸おうとおもうのだけど、ただ節約しているとおもわれるのも癪だから、道具はきちんとしようとおもって、この前東京に行ったとき、キャバクラに置き忘れてきてしまったジッポをあらためて買った。

それからゴールデンバットは両切りなので、手で持って吸うと根元まで吸えないし、くわえた感触もあまりよくないので、ほんとは黒い、昔おじさんが使っていたような短いパイプがよかったのだけれど、それは今日ロフトも行ったし、新京極や寺町通もずいぶん歩いたけれど、ぜんぜん売ってない。禁煙パイプは売っているのだけれど、そういう喫煙具は、いまや時代じゃないらしい。
それでたまたま土産物屋をのぞいたら、昔風のキセルがあって、ちょうど先っちょのところがタバコを挿せるサイズになっていたので、それを買ってきたというわけなのだ。

酒とかタバコとかいう嗜好品は、それがなければ生きていけないというものではないから、やはりあるていどこだわらないと、楽しみとして成り立たない。新京極でライターやアクセサリーを売っている店のオヤジは、最近まで喫煙具を売っている店が近くにあったけれど、この禁煙ブームでもう商売をやめたといっていた。まったく嘆かわしいことだ。

だいたい「健康健康」というけれど、そんなに長生きして何をしようというのだ。健康保険も年金も破綻寸前という危機的状況のいま、べつに早く死ねとはいわないが、そんなに健康に気をつかって、長生きしようとする必要もないのじゃないか。みんな長生きをして、向かおうとしている先はただの空虚だということに、うすうす気付いてはいるけれど、誰も口に出せないということなのだろうな。

桜は僕は、去年いくつか見たなかでは、「南禅寺」のがいちばんよかった。もみじも南禅寺がよかった。
そういうと京都を知っているひとは、「ミーハーだ」というのだけれど、ミーハー上等、いいものはいいのだから仕方ない。
だいたい僕は、桜という植物そのものにはそれほど興味はなく、京都に来る前までは桜が咲いていることに気付きすらしないほどだったのだけれど、京都の桜、とくに南禅寺の桜はちがうのだ。

南禅寺というのは境内が全体としてひとつの生花みたいになっていて、木々の一本一本が計算されつくして植えられている。松ともみじ、それに桜なのだが、1年をとおして青々としている松にたいして、季節で色付くもみじと桜が、左右や前後にうまいこと配置され、なんともきれいなコントラストを感じさせるようになっているうえに、それが三門や本堂の古びて黒くなった木造建築と見事に調和して、「日本の美」とはまさにこれだろうという、代表的な芸術表現になっている。

まあしかしたしかに、昔からそれを見に来たのは、田舎にある末寺からわざわざやってくるお上りさんだったろうから、多少こけおどし的なところはなくはなく、そういうところに僕のような田舎者も策略どおり引っかかってしまうということなのかもしれないが、芸術というものは古今東西、元々そういうものなのであって、それを理由に芸術の価値が上がったり下がったりするものではないだろう。

昨日の晩に食べたのは、「京都風けんちん汁」。
けんちん汁というと、僕としては鶏肉をつかうというイメージなのだが、京都では豚肉をつかうのだそうだ。これは「ikoi cafe」のママにあらためて確認したもので、いっしょにいた年配の女性もそうだといっていたからまちがいない。
京都では「豚汁のすまし汁版」がけんちん汁ということになるのだそうだ。

まあしかしうまければ名前などどうでもいいわけで、豚肉と根菜をいっしょに煮た汁がけんちん汁であっても、何かほかの名前で呼ばれても、べつにかまわないわけなのだけれど、僕はこのけんちん汁を、昨日よそいやすいようにとおもってフライパンでつくったのだが、そうするとこれはいつも食べている「鍋」にも似ているわけで、「鍋」と「汁」の境い目がどこにあるのかということも、いろいろ考えてしまった。
葉野菜がつかわれるのが鍋で、根菜がつかわれるのが汁かといえそうな気もするが、そうとも限らない感じもするし、これは難問ですな。

酒は福島「奥の松」本醸造、昨日は2合でのみ切った。

今日の昼めしは、予定どおりの「新福菜館三条店」。
いつもはラーメンに白めしを付けるのだけれど、今日はチャーハンにしてみた。
ここのチャーハンというのがまた、ラーメンとおなじ真っ黒いタレをつかって、こってりと甘辛く味が付けられているのだ。
どちらもおなじ味だとクドイのじゃないかという気がしていたのだが、いやそうではなく、「相乗効果」で激しくうまかった。