2011-03-22

常夜鍋、アサリのぶっかけめし

東北地震被災地の復興のためにできること、まあ何でもいいから、できることをやりたいという気持ちがあるわけで、それはもちろんまず第一には、被災者のひとたちのつらい状況や気持ちを考えて、ということがあるわけだけれど、それと同時に、いま日本中、世界中のたくさんのひとたちが、被災者のひとたちの復興をなんとか手助けしたいという気持ちを持ちはじめていて、僕にはそのことが、これからの日本を大きく変えるきっかけになるのじゃないかと感じられて、べつにカッコいいことをして注目をあびたいということではないのだけれど、ほんとに外側の、端っこのところでもいいから、自分もその輪に加わっていたいということがある。

それでとりあえず、昨日からはじめたのは「お参り」。
家から近くの神社でお賽銭をあげ、被災者の冥福と無事を祈る。
お賽銭といっても、「余っている十円玉を処分する」という位置付けで、昨日は30円、今日は10円。
「ふざけんなよ」とかいわれそうだが、自分の気持も安まるし、土日に嵐山と奈良の寺をまわってみて、「これは意外にご利益があるのではないか」とおもえるようになった。

それから「東北の酒を買う」。
今日は近所の酒屋で、これもやはり福島の「大七 純米生もと」というのを買ってみた。
「日経新聞何でもランキング 美味しい熱燗第1位」とか、「地酒大showプラチナ賞(第1位)」とか、いろいろ賞も受賞しているみたいで、これは今晩のんでみる。
酒屋によれば「酒蔵が壊滅状態で、しばらく出荷できない」ということだったが、それはガセネタで、ネットで調べると、被害は比較的軽微で、福島原発からも離れた場所にあり、今日から業務を再開したとのこと。
よかったです。

大七酒造ホームページ



昨日の晩めしは、ほんとは日曜の特売で買ってあった鶏もも肉が冷蔵庫に入っていたのだけれど、昨日スーパーへいってみると、なぜか鶏ではなく、豚が食べたくなった。
たぶんこのところ魚がつづいていたので、豚肉の強力なタンパク質をからだが欲していたということじゃないかとおもうのだが、僕のばあいこういうことがけっこうあるので、事前に買い置きしておくことがむずかしいのだ。
「その日に食べたいものを食べる」というのが、からだには一番いいのじゃないかと僕はおもっている。

いっしょにほうれん草も食べたい気持ちだったので、こうなればいうまでもなく「常夜鍋」。

ほうれん草は生のまま入れるより、さっとゆがいてよく絞ってアクを抜いておくと、鍋の汁にアクが出ず、豚のうまみたっぷりのスープを有効活用することができる。僕はこれを塩コショウで味付けして吸物にする。

タレはしょうゆとレモン汁の酢じょうゆに、韓国唐辛子。

酒は福島の酒「奥の松」を、昨日は2合でのみ切った。



アサリのむき身が、このごろスーパーに出回るようになっていて、これはアサリが旬になってきたということかとおもうのだけれど、中国産だがたっぷり入ったのが200円しないで売っているから、これを大根といっしょに煮て白めしにぶっかけたものを、今日の昼めしにすることにした。

僕は白めしはいつも「かまどさん」という米炊き専用の土鍋で炊いていたのだが、異常にうまいめしがあまりに簡単に炊けてしまうので、ちょっとつまらなくなって、ふつうの片手鍋で炊くことにした。

ふつうの鍋で炊くばあい、大量に吹きこぼれてしまうので、その分を計算にいれて水加減を多めにしておくことが、まず第一のポイントになる。
ふつうの米を自分でといで使うばあい、基本の水加減は米1合、180ccにたいして、水1カップ、200ccということになるが、今日は無洗米だったので、米が吸い込む水の分も考えて、250ccの水加減としてみた。

火加減だが、米は鍋の温度が高いほど、うまく炊ける。だから火加減は強いほうがいいのだが、そうすると激しく吹きこぼれてしまうことになるので、吹きこぼれが許せる範囲で最大の火加減にする。
この水加減、火加減は、鍋によってかなりちがうので、実際に何回かやってみて、体得するしかない。

火を止めるタイミングは、鍋のフタが透明だと、見て水がなくなったら止めればいいから簡単なのだが、そうでないばあい、「チリチリ」と水が蒸発する音がしだして、鍋から吹きでる湯気がゆるくなってきたら、一呼吸おいてから火を止める。

10分蒸らして出来上がり。けっこうおいしく炊けました。

この白めしに、アサリと細切りの大根を、昆布だしに酒、みりん、砂糖、しょうゆ、それに好みでショウガをいれた汁で煮て、汁ごとぶっかけ、七味をふって食べる。
池波正太郎が子供のころからよく食べていたものだそうだが、つくづく素朴な、いかにも「東京下町」というかんじの味。