2011-03-03

安いのに贅沢。「かんぱちアラ丼」

このごろは外食は、近場の店はひと通りまわってしまったわけで、いくつか贔屓にしている店には行きつづけているが、それ以外にはそれほど行きたいとおもうところもない。それで家で昼めしを食べることが増えているわけなのだが、池波正太郎「そうざい料理帖」を読み、

「豚肉のうどんすき」

を実際につくり、食べてみて、こんなに安く、簡単に、しかもなんとも贅沢な昼めしが、家で食べられるということを、僕は知ってしまったわけなのだ。

しかし毎日豚肉のうどんすきを食べるというわけにもいかないから、おとといグルメシティで、ほかになにか、

「安いのに贅沢」

な昼めしになるものがないか、見てまわったら、見つけたのだな。

ワンパターンといえば、ワンパターンなのだが、

かんぱちのアラ。

150円の20%引きだから、120円。

これを大根といっしょにさっと煮付けて、それを汁ごと、炊きたてのごはんにのせたら、これはなんともうまそうではないか。

アラだからどうしても、初めに湯通しして、それを水でよく洗うという手間は、かけないといけないのだが、それは仕方ない。

鍋にあまり厚くなりすぎないように切った大根、それにアラを入れ、今日はアラだから、ふつうに魚を煮付けるよりちょっと長めの15分、煮ることにして、そうすると酒と水は、あわせて1.5カップ。

みりんと砂糖、それにチューブのショウガを入れ、ペーパータオルの落としぶたをして、強火にかける。

沸騰したら、煮汁がきちんと上までまわるくらいの強さに火加減を調節し、5分煮、しょうゆを少なめに入れる。

さらに5分したら、しょうゆを足して、味をみて、そのころには煮汁も少なくなっているので、落としぶたを外して、スプーンで煮汁をすくって上からかけたりしながら、煮詰めていく。

15分たち、煮汁がすこし残っているというくらいになったら、風味付けのため、さらにスプーン一杯のしょうゆをたらして、火を止める。

ごはんは僕は、炊飯器は使わず土鍋で炊く。

僕が使っている土鍋は、長谷製陶という会社がつくっている「かまどさん」というものだが、これは1合だけ炊いても、よっぽどの店じゃないと、ここまでのごはんは炊けない、というくらいうまい。

炊きたてのごはんに、アラを煮汁ごとぶっかけたら出来上がり。

これはですねえ、ご想像のとおり、

「神様、僕は昼間から、こんな贅沢をしていいのでしょうか」

とおもうくらい、激しくうまかったです。

味をひとことで言うと、「うな丼」。

魚のうまみが凝縮された、こってりとした煮汁がごはんにからまり、たまりまへん。

豚肉のうどんすきにくらべて、多少の手間はかかるけれど、これはじゅうぶん、やる価値があるのではないでしょうか。

晩めしは久しぶりに、「鶏もも肉の塩焼き」。ただ塩をすり込んで焼くだけだが、おもてうら終始弱火でやると、30分くらいの時間はかかってしまうが、皮はパリパリ、中はモチモチの、絶品になる。

レモン汁をかけ、いつもはかける青ネギを、今日は買いわすれたので、わさびを添えてみたが、これもなかなかよかった。

今日は安いとおもって、ブラジル産を使ってみたのだが、やはりこれは、日本産のほうがうまかった。

それに水菜のおしたし。

ネギ入り湯豆腐。

湯豆腐のタレは、しょうゆにおかか。

湯豆腐を食べおわったら、昆布とネギのだしが出たその汁に、このタレを入れると、なんともうまい吸物になりました。

酒は、佐々木酒造「古都」の普段のみ用本醸造酒だが、今日からは「グリーンラベル」。

古都の普段のみ用には、「茶色」と「グリーン」があって、茶色はむかしながらの伝統の味、グリーンは新しい味なのだそうだが、この新しい味、すっきりとして、ちょっと辛めで、しかもフルーティーな風味がする。

なるほど、はんなりと甘い茶色とは、対極にあるのだが、これはこれでたいへんうまい。

茶色は燗、グリーンは冷やが合いそうですな。


 

佐々木酒造株式会社