2010-11-11

新宿中村屋

同窓会で東京へ行って、もう一つ思ったことは、東京っていうのは、刺激で生きてる街だ、ってことなのだよな。

また行った場所が、東京随一の繁華街新宿だってことがあるのだけれど、とにかく広告、宣伝、呼び込み、客引き、その他もろもろの物事が、なんとか人の気をひこうと一斉に群がり集まってくる。それぞれが自分勝手に、自分のことだけを考えてやっていることだから、それらはお互いに何の関わりもなく、したがって全体として完全なる無秩序というものが、その場のすべてなわけだ。東京に住んでいるときは、それが当たり前であって、日本全国津々浦々、同じようなものなのだろうと勝手に思っていたのだが、そんな場所は日本には、それほどたくさんないのだよな。

そういう場所だから、歩く人も、まわりの無秩序な刺激に負けないように、自分も刺激的な格好をしなければ、埋もれて目立たなくなってしまうわけだ。東京の女の子が、とにかくエロい格好をしているということは、最近思っていたことなのだけれど、エロいというのはある意味、最大の刺激であって、今やおそらく東京では、エロくない格好というものは、誰にも認識してもらえないというような、そういうことになっているんじゃないかという気がするな。

ストッキング一つとっても、柄が入っているのは当たり前で、その柄と、腰回りの無地の部分との継ぎ目が、ふつうなら腿の付け根のあたりにあるだろうというところ、ずいぶん下の、腿の真ん中あたりにあるというのもずいぶん見かけた。下着が見えているというのと、感覚的にはいっしょなわけで、人間いろんなことを考え出すもんだ。

東京の場合ラーメンも同じような感じがして、スープは濃く、麺は太く、肉は分厚く、野菜は山盛り、とかいうのって、それぞれの部分部分の特徴を、より刺激的になるように増幅しているというようなものであって、それってラーメンのデフォルメ、ラーメンのマンガみたいなものだよな。東京の人はあまりに刺激にかこまれた生活をしているから、そういうマンガみたいなものしか、すでに認識できないようになっているのじゃないかと思ったりする。

同窓会の翌日、歌舞伎町のサウナで一休みしたのだが、そこにお約束の中国マッサージがあって、若い中国人のオネエちゃんが20人くらいいるわけなのだが、そこはなんと指名制になっていて、指名料200円で、好きなオネエちゃんを指名できるようになっていた。さすが歌舞伎町だな。キャバクラやホストクラブと同じノリだ。僕は京都のサウナで、マッサージに女性限定のお願いをしただけで、すごい嫌な顔をされたことがあるのだが、東京ではお金儲けのためならば、お客の希望は何でも聞くということなわけだ。

昼めしに何を食べようか考えて、この頃ちょっとカレーに凝っていたということもあって、新宿中村屋でカレーを食べることにした。これはやはり、新宿へ来たら、食べるべきものの一つと言えるのじゃないか。かなり広い店内なのだが、午後2時過ぎなのに8割方埋まっているという感じだった。

注文したのはメニュー筆頭の「インドカリー」。1,470円。付け合せには、玉ねぎの唐辛子漬けとピクルス、らっきょう、それにもう一つ何なのかわからないものがあったので聞いてみたら、マンゴーチャツネだった。ここは店員のオネエちゃん、さすが老舗と思わせる、新宿の街を歩いているのとは打って変わった、清純派ばかりを集めていた。

ご飯がさらに丸く盛られていて、ポットに入れられているカレーを自由にかけるようになっているので、当然僕は全体にまんべんなくかけてみた。しかし失敗したのが、粉チーズを、まずかけずにカレーそのものの味を味わって、あとからかければ良かったのだが、初めからたっぷりかけてしまったので、ほとんど粉チーズの味になってしまって、カレーの味はよくわからなかった。シマッタシマッタ。

まあしかし、オーソドックスな、「日本風のインドカレー」といえばこれだろう、というような、まろやかでかつスパイスの利いた味。すべてにおいて程良くて、今の新宿の刺激にあふれた光景とは、ずいぶん違うのだけれど、新宿も昔はたぶん、こういう場所だったということなのでしょうね。