2010-09-02

民主党代表選


民主党の代表選挙に、小沢一郎が立候補して、昨日も記者会見があったり、今日は討論会があったりしているわけだ。
僕は最近は、新聞で小沢一郎の顔を見るたびに、ほんとに不愉快な思いがするわけだが、べつになにも、僕が昔から小沢一郎が嫌いだったとかいうわけじゃない。
しかし民主党が政権をとって、この一年の小沢一郎のふるまいを見ていると、小沢は日本の行く末のことなど、これっぽっちも考えておらず、自分の利益や立場の温存ということ以外は、まったく頭にない人であると思わざるを得ないのだ。

もともと民主党の代表だった小沢が、自分の問題で代表を降りなければいけないことになったとき、間髪入れずに代表選をおこない、鳩山を代表にしたのは小沢自身だ。
その鳩山が首相になり、本人の能力の不足と、たしかにいっていいだろう、政権が迷走をはじめ、物事がどんどん、わけがわからなくなっていくとき、僕は小沢がどうするのかと思って、よくよく眺めていた。
自分が担ぎ上げた首相なのだから、その首相が危機にあるとき、自分の安全な範囲を踏み越えてでも、それを助けようとすることが、人間として当然すべきことであると思ったからだ。
しかし小沢は、そのようなそぶりを、露ほども見せなかった。
都合のいいときだけ、政府と党はべつですから、などといい、責任を鳩山になすりつけ、彼を見殺しにした。

小沢としては、批判が鳩山に集中し、もうダメとなったら、首をすげ替えればよいと、考えていたに違いない。
ところが予定が狂って、温存するはずだった自分の権力基盤を、失ってしまったわけだが、僕はそういう考えが許せない。
自分の利益や立場を保つということは、人間として誰でも、しなければ生きてはいけないことなわけだが、そのとき、まわりの人間を故なく貶めたり、切り捨てたりしてそれを果たそうとする人間は、僕は大嫌いなのだ。
僕はあのときの首相交代劇をとおして、小沢一郎という人間がはっきりわかったと思い、それが退いてくれて、ほんとに良かったと思った。

今回小沢は、菅首相では、官僚主導の自民党時代の政治にもどってしまう、それを防ぐために、あえて立候補したと、昨日の記者会見ではいっていたが、そんなわけはない。
小沢は日本という国をどうするかなど、ほんとに真剣に考える人間ではない。
ただ自分の立場が、今のままでは保てないから、立候補するだけというのに決まっている。
小沢の剛腕だったら、官僚主導にくさびを打ち、今の経済危機から脱することができるのじゃないか、などと期待する声もあるみたいだが、ほんとに何かを成し遂げようと思ったら、捨て身の覚悟がないかぎり、できないことがあると思う。
自分の立場をまず考える小沢に、そんなこと、逆立ちしたってできるわけがない。

菅の指導力不足を嘆く声もある。
たしかに僕も、あの消費税発言をはじめとして、どうなのかと思うことがないではないが、首相になって3ヶ月足らず、まだ判断するのは早いと思う。
菅は厚生大臣のとき、薬害エイズの件で、目覚ましい活躍をして、ああこの人は仕事ができる人だと、強く思った記憶がある。
もしかしたらこれから、そういう実力を発揮するかもしれない。
もしだめなら、もう少し先で、また考えたらよい。
今のこの時点で、菅を引きずり降ろそうとする理由など、まったく見当たらないと思う。

代表選は僕に投票権があるわけじゃないから、行方を見守るしかないわけだが、ぜひ菅直人に引きつづき首相をさせるという結果がきちんと出ることを、僕は切に希望するものだ。