2010-07-13

蒲 田

東京は大田区蒲田というのは、僕が10年以上住んだ街だが、なんとも不思議な魅力がある場所で、ひとことで言えば下町なのだが、京都でいえば今僕が住んでる四条大宮と似たところもあって、東急池上線と目黒線の終着駅でありながら、JRの急行にあたる東海道線が止まらないため、大規模な再開発も行われず、東京の進歩からちょっと取り残されている。駅前には古い雑居ビルが林立し、奥には古い飲み屋街がそのまま残り、そこに昔からの店と、新しい、若者が頑張る店、そして中国や韓国、タイなどの外国人の店が混在し、独特な、猥雑な空気が街中に充満しているのだ。

その外国人の数というのがまたハンパなく、駅前の雑居ビルで上階はすべて中国人に占拠されているという、はげしく怪しいやつがあるし、奥の飲み屋街も、半分以上が外国人の飲み屋やマッサージの店だったりする。街を歩いていても、つねにどこからか、外国語が聞こえてくる。アジアの人たちというのは、韓流ドラマを見てもわかるように、日本人がすでになくしてしまった純粋さやかわいらしさをもっているし、またみな出稼ぎや勉強のために日本に来ていて猛烈に頑張るから、日本のキャバクラによくいる、お人形さんのようにかわいいけれど何も話ができず、こちらがサービスして楽しませてやらないといけないアホなオネエちゃんとはえらい違いで、ついほだされてハマってしまうと、けっこうな授業料をはらう羽目になるわけだ。

夜も9時を過ぎると、街角には黒服の男にまじって、中国人を中心としたオネエちゃんがあそこここにたむろして客引きをする。ただ金をふんだくるだけのところも多いが、そのなかで蒲田で最強だと思う「ラウンジ夢」へ、昨夜大学生の息子を社会科見学のために連れていった。蒲田の西口を出るとロータリーを抜けて真西にむかうバス通りがあるが、その2本北にある、両側に居酒屋やスナック、キャバクラが密集する道の、蒲田の駅の側から入ってすぐの左側、1階に中華料理屋があるスナックビルの6階にある。

ママはドラえもんの大山のぶ代にも似た、完全なおばさん顔でおとなしそうな人なのだが、これがかなりのタマなのだ。中国各地から様々なタイプの若いオネエちゃんを集めていて、このオネエちゃんの質が蒲田では随一だと思うのだが、しかもこれを、客を見て、その客がハマるタイプのオネエちゃんをきちんと見抜き、ばっちりと隣に座らせてくるわけだ。昨夜は二人で行ったのに、店が空いていたから、たちまち3人のオネエちゃんが付き、息子のほうには木村カエラ似の派手な子、僕の横には安めぐみ似の、いかにもおじさん好きする癒し系、あとで息子も、あれまさにタイプど真ん中だと言っていたし、僕のほうも、下手なカラオケをいちいちほめられているうちに、たちまちガードが、甘いどころかまったくなくなってしまうのだ。

飲み放題のセット料金は一人1時間5,000円。しかしこれに、女の子が飲み物をせがんでくるのを、すでにまったく断れないようになっているから、3人に計7杯をおごって7,000円。延長を必死の思いで断り、店を出る時にはさらに、女の子達を連れてどこかに飲みに行けば、という考えもしない大技を繰り出されたのをなんとか振りきり、息子と二人、はげしく後ろ髪をひかれつつ帰ってきた。いつもは気をつけて教えない携帯番号も、いともたやすく聞き出されてしまったのだが、まあ僕は京都にいるから、再び通いつめる心配はないのだ。そうなのか。