今日はほんとは「双葉」に行きたかったんだけど、6時ごろ行ったらやってなかった。
もっと遅くから始まるのかな。
よくわからん。
ということで流川、薬研堀近辺を物色し、決めたのがここ、福万。
前からちょっと気になってはいたんだよな。
カウンターのみ、10席程度の小さな店。
真ん中あたりに座ると、調理の風景が全部見えるから面白い。
当然まずビール。
今日はだいたい、何かをつまみにビールを飲んで、最後に中華そばでシメる、というコースを想定してきたわけだからな。
いや想定してなくても飲むが。
そして焼餃子、650円。
作るのを見ていると、ラードをしいた小さめのフライパンに餃子を乗せ、そこに水をどぼどぼどぼ、と入れて、蓋をして火にかける。
この火がすごい、目いっぱいの強火。
炒め物とかをするときの、あの強火だ。
すぐにパチパチ音がし出して、時々パン、とか音がしたりもするが、火を弱める気配はない。
そして水の音がしなくなるまで、そのままの強火で行ってしまう。
火を止めると蓋を開け、皿を上に載せてひっくり返し、ちょっと斜めにして油を切る。
10秒以上は斜めにしてたな。
計ってないけど。
そして出来た餃子を、別のきれいな皿に乗せ替えて出す。
普通のラーメン屋ではあまり見かけない、すごい作り方だ。
たぶん中国のそのままのやり方なんだな。
味がまた、皮の火に面した側はパリパリで、ちょっとお煎餅みたいな感じになっていて、反対側はモチモチ、そして中はホクホク。
よく油が切られているから、まずい餃子にありがちな、油にまみれた感じは全くない。
ラーメン屋の餃子というと、何だか似たようなやつが多いんだけど、ここはさすが、餃子を看板メニューにしてあるだけのことはあるな。
隣の兄ちゃんは、餃子を二人前頼んでいた。
そうしたくなる感じ、気持ちわかるよ。
そして中華そば、600円。
これもけっこう凄かった。
澄んだ鶏がらだしに、さわやかな醤油味のスープ。
雑味が全くない、端正な味。
ここに沈んでいるのが、平打ち麺。
尾道ラーメンと同じやつ。
しかしこちらは何故か、カップヌードルは思い出さなかった。
何が違うのかな、慣れたのかな。
上に乗ってる、けっこう大量の細もやし、これは麺を釜からざるで取り出したら、そこにすかさずもやしを入れ、同じざるで取り出して乗せるから、いっぱい入っていても汁がぬるくなる心配がない。
そうなんだよな、ここは、餃子にしても、ラーメンにしても、一人前の作り方をするんだよな。
お好み焼きですら大量生産の道を歩むこのご時勢、珍しいよな。
それにもっちりチャーシューと青ねぎ。
そして最上部には、かすかに八角の風味がする、そぼろ肉。
これはタレに漬け込まれていて、初めにこのタレをスープで割って、最後に中のそぼろ肉を上に乗せるのだ。
コショウを振りかけて完成。
八角の効果なのか、全体に硬質な味がする。
食欲が掻き立てられる味だよな。
聞くとこの店、52年前の創業で、初めの2年は屋台だったそうだ。
52年前というと昭和32年、戦後12年目だな。
すずめや陽気の元祖、段原食堂が、昭和25年だから、ちょっと後なんだな。
現在85歳の先代は台湾からやって来たのだそうだ。
そうそう、台湾・中国からやって来て日本に土着した、第一世代の味という感じだよな。
しかもその先代、今でも毎日、仕込みにはやって来るそうだ。
反対側の隣のお客は、もうこの店に何十年も通っているという、83歳の爺さんだった。
中華そばと餃子をペロッと食べて帰っていった。
福万 (中華料理 / 胡町、八丁堀、立町)
★★★★★ 5.0