2008-10-07

広島東雲 お好み焼き 「のうみ」


数日前に「この店がおいしい」とコメントをもらったので、にわか三八中毒の僕としては早速行ってみたというわけだ。
もう最近では、三八系以外のお好み焼きは食べる気にならない。
もちろんすぐまた変わるわけだが。

コメントにもあった通り、この店の女将さんは3年前にこの店をオープンするに当たって、東雲本町の「三八」で焼き方を習ったのだ。
看板の「のうみ」の上に、小さく「三八」と書いてある。

三八で修行した人たちの店には何軒か行ったのだが、みんな三八の焼き方を尊重しながらも、自分の考えを取り入れていく。
この店のポイントは、キャベツの量だ。
女将が「野菜がたくさん入っているのが好きだから」だそうだが、莫大な量のキャベツを入れる。
シングルでも両手で二つかみ分位は入れる。
もちろん極細。
それだけのキャベツを入れると普通にやっていたのではなかなか火が通らないからだろう、ボウルのお尻に取っ手が付いたようなやつ、あれ何て言うんだろう、それをかぶせて蒸している。

蒸し終わると当然のこと、アイロンで押し付ける。
三八松浦」や「きさや」では、本家三八に比べると押し付ける回数が少ない。
本家では10回近く、これでもかとばかりに押し付けて、キャベツの水分を搾り取ってしまうのだが、松浦やきさやではグイグイグイ、っと3回ほど。
そうやってキャベツの水分を残すことで、ふんわりしたお好み焼きが出来上がるわけだ。

しかしこの店では本家と同様、キャベツの水分を徹底的に搾り取る。
女将は松浦のやり方も知っていたが、こうしないと持ち帰ったとき水分が出てしまうのだそうだ。
ただそうするとどうしても、かさが減ったキャベツの存在感が弱くなってしまうのだが、それをキャベツの増量で補っているのだろう。


そば肉玉600円。コメントにはうどんがお薦めとあったが、初回はやはりそば。

ほくほくとしたキャベツの食べごたえがきちんとする。
本家の弱点を、焼き方によってではなく具材の増量によって克服するとは、大した腹の据わり方である。

今日店に着いたのが1時半で、でもその時点まだ店は満員、2時過ぎにやっと座れたのだが、その時にはもうお客は僕一人だったから、女将といろいろ話ができた。
その中で、「麺を中に入れて蒸す三八流のやり方は現在の主流ではないわけだが、それについて迷うことはないか」と聞いてみた。
そしたら女将、そういう話を三八の親父さんともしたことがあるそうだ。
親父さんは「実際に両方のやり方で作って、食べ比べてみろ」とのこと、そしたら三八流のやり方の方がおいしかった、だから迷うことは全くない、とのことだった。

女将はお好み屋をはじめてまだ3年目、手つきもちょっと覚束ない所もあったりするのだが、こういうきっぱりした女性はいいなと思う。
結局それかよって感じだが。

お好み焼き のうみ (お好み焼き / 天神川)
★★★★ 4.0