2008-08-16

広島市中区 お好み焼き かんらん車


ここのお好み焼きは旨かった。
お好み焼きが旨いか不味いかは、食べる前に分かる。
作りかたを見ていれば分かるのだ。

ご主人はラテンの音楽が好きなようで、時々iPodを操作しては、BGMを選んでいる。
BGMにあわせて鼻歌なども歌いながら、身体は一瞬も休まず動いている。

水をたらして鉄板の温度を確認し、火を調節し、生地を手際よく丸くのばす。
生地はまず火元から遠い場所でのばすのだが、ちょっと乾いたらわざわざ剥がして、火元へと場所を移動する。
個数分の丸い皮をていねいに並べ、魚粉をふり、大量のキャベツ、もやし、天カス、三枚肉。
余分な調味料は、いっさい使わない。
しばらくそのまま火を通し、ラードのかけらを載せ、ひっくり返す。

おかみさんは裏から、そのとき焼く個数分だけの材料を、冷蔵庫から出してくる。
出された麺を鍋に入れ、茹だった麺を鉄板に丸く広げ、油をたらし、焼きを入れる。
並行して、これはこの店で初めて見たのだが、火を通しているお好み焼き本体の皮を一度はがし、皮から下だけ表裏をひっくり返し、はがした皮をもどす。
うーん、すごい、手が込んでいる。
一番下にあった肉に火が通りすぎるのを避けるためと、キャベツにきちんと火を通すための工夫なのだろう。

焼きのはいった麺を裏返し、少しほぐして、火の通った本体をのせる。
卵を割り、ちょっとつぶしてから麺と合体させた本体をのせ、半熟のまま、間髪いれずに引っくり返す。
さらに次がまたすごい。
ソースをかけるのに、まず上部にある半熟卵の貼りついた麺を一度はずして、キャベツ部分に直接かけ、さらに麺をもどして、上からたっぷり塗る。
青のりをふりかけて、完成。

ご主人はいかにも楽しげに、ラテンのダンスでも踊るかのように、一連の作業を一つの流れとして進めていく。
出てきたお好み焼き、見ただけで唾が口にわいてくる。

そば肉玉、700円。
非常にオーソドックスな形なのだが、僕はこれまでいちばん旨いと思っていた八昌より、もしかしたらおいしいかもしれない。

ご主人、「一枚一枚のお好み焼きを焼くのが、その度に面白い」と言っていた。
負けました。


かんらん車 (お好み焼き / 十日市町)
★★★★★ 5.0

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