2008-06-11

今日のお好み焼き



家からほど近い、セブン。
住宅地にある、ローカルなお好み焼き屋。ご主人はどうしたのだろう、おばちゃんが一人で切り盛りしている。
広島の知人に教えてもらったのだが、中心街だけでなく、地域にもいろいろ名店が多いとのこと。

ここの特徴は、まぁ言えば、振りかけ派だ。
銀色の缶に入った調味料、それを六種類使っていた。
塩、こしょう、かつお節の粉、味の素、青のり、それにガーリックパウダー。
ガーリックパウダーは、初めて見た。青のりにはゴマも入っている。これも初めて。
さらにテーブルには、おたふくソース、これはわりあいどこにもあるが、その他に一味唐辛子とこしょう。
生地とか、麺とか、肉とかキャベツとか卵とか、そういう基本要素ではなく、ローカルだからね、その他の要素のところで細かく勝負しようとしているみたいだった。
微笑ましいです。そこそこおいしくいただきました。

広島風お好み焼きを、地域で生まれた特色ある洋食、と考えると、似ているな、と思えるものがあって、名古屋のあんかけスパ。
残念ながらあんかけスパについては詳しく研究しなかったのだが、パスタの麺の上に、あんと言うのだろう、茶色いソースがかかっていて、上にいろいろトッピングされている。
麺があって、ソースがかかってて、トッピングがあって、と広島風お好み焼きと、構成が何となく似ている。
あんかけスパは、そのあん、ソースが不思議で、ひとことで言うと、何の味だか分からない味。聞くと、トマトなどの野菜と、肉のミンチ、こしょうなどのスパイス、それを何時間もぐつぐつ煮込むのだそうだ。
東京育ちのぼくなどの、浅はかな考えからすると、トマトならトマトをせっかく入れるのなら、もっと素材の味を生かして、トマトのフレッシュな酸味が際立つようにしたらいいのに、と思うのだが、やはりそれは名古屋の人にとっては、下品なのだろう。トマトが入っているにもかかわらず、トマトの味がせず、うまみだけが引き出されている、というところに、価値があるのではないかと思う。

ウスターソースというものも、何とも不思議なものだと思うが、あれと西洋のソースの王道であろう、ドミグラスソースをくらべると、無知を承知でざっくり言うと、酸味があるかないか、なのではないだろうか。ウスターソースは酸っぱいが、ドミグラスソースは酸っぱくない。
そのドミグラスソースと、あんかけスパのあんをくらべると、ドミグラスソースはわりと甘ったるいのに対して、あんはあまり甘くない。
そうしてみると、あんかけスパのあんは、ウスターソースから、酸味と甘みを取り除いたものだということになる。

広島風お好み焼きにかけられるソース、あれも不思議な感じで、おたふくというメーカーのソースが有名だが、ちなみに先日買った、おたふく焼きそばソース



の原材料名のところを見てみると、こうなっている。

ウスターソース、野菜・果実(トマト、たまねぎ、りんご、にんじん、その他)、糖類(ぶどう糖果糖液糖、砂糖)、醸造酢、醤油、アミノ酸液、食塩、でんぷん、香辛料、肉エキス、オイスターエキス、魚肉エキス、魚醤、粉末醤油、昆布、酵母エキス、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(タマリンド)、(原材料の一部として小麦、大豆、鶏肉、豚肉、もも、りんご、魚介類を含む)。

まずウスターソースが入っていて、その他にこれだけのものが入っているということだと思うが、ウスターソースというもの自体が、
野菜や果実などのジュース、ピューレなどに食塩、砂糖、酢、香辛料を加えて調整、熟成した液体調味料(Wikipedia
ということなので、お好みソースは、ウスターソースにすでに入っているものを、さらに追加して強化して、その他に醤油や肉エキスなど、うまみのもとをたっぷり加え、でんぷんや増粘剤などでドロッとさせている、という感じなのだと思う。

名古屋にしても広島にしても、もともとウスターソースはあったわけで、でも自分たちの舌に合った、独自のソースを作ろうという取り組みがあり、名古屋の場合はウスターソースから要素を取り除く、という形であんかけスパのソースを作り、広島の場合はウスターソースに色々なものを加える、という形で、お好み焼きのソースを作った、というところなのかなと思う。
でも手法は違うのだが、できたものは何となく似ている。面白いなと思う。