2012-07-07

イワシ甘露煮


今日の晩酌。

イワシ甘露煮と昨日のつくね、じゃこおろしに冷奴、ナスの浅漬け。



今日も魚屋へ行ったら、うまそうなイワシが売っていた。

魚屋のおばちゃんに、どうやって食べるか聞いてみると、「甘露煮」がおいしいそうだ。

たっぷり2時間かけて炊くと、骨まで食べられるようになるとのこと。

それはうまそう、早速やってみることにした。



イワシは頭を切り落とし、ハラワタをかき出して2つに切る。

鍋に昆布、ショウガのうす切り、梅干し2~3個分のそぎ切りをいれ、イワシをならべる。

酒はカップに2分の1、たっぷりかぶる水をいれ、みりんは4分の1カップ、砂糖は大さじ3杯くらい、火にかける。



アクをとりながら弱火で10分、しょうゆカップ8分の1をいれ、落としブタをしてとろ火でコトコト1時間。

さらにしょうゆを8分の1カップいれ、ふたたびコトコト1時間。

最後は煮汁をすくってはかけして、煮詰めてしまえば出来上がり。

我ながら、これは絶品。

食べたとき、骨のことなど忘れてた。



ナスの浅漬けの作り方は、八百屋のおっちゃんに教えてもらった。

ナスは小さな小ナスを使う。

味がしみ込みやすいよう、2~3本切り込みをいれておく。

漬物器に昆布をしき、ナスを平らにならべたら、上から塩をふりかけて、フタを閉め、圧力をかける。

ただ今日はまだ、ちょっと早すぎ。

とりあえずかつお節とポン酢しょうゆをかけて食べる。



酒は今夜も焼酎水割り。

3杯飲んで、さらにもう1杯、うすいの飲んだ。






僕は砂漠を歩いていた。

砂漠にはいろんな動物がいる。

夕日をバックに遠くに見える、隊列を組んだらくだは定番だ。

足元にはヘビもいる。

黄金色の肌に、黒くて細い縞のはいった中くらいの大きさのヘビが、黒い舌をペロペロと出したり引っ込めたりしながら、黄色い砂の中を器用に泳ぎ、走り去っていく。



ヘビが走り去っていくその先には、オアシスが見える。

オアシスは小さな島のように見え、緑色の草が生いしげり、ヤシの木が2本、生えている。

僕はオアシスの、ヤシの木の木陰に、ヤシの木の茶色く太い幹を背もたれにしてすわり、一息ついた。



見わたすかぎり一面の、日に照らされた黄色い砂の海。

そばにはさっきのヘビが、とぐろを巻いて昼寝をしている。



すぐそばの草の上に、焦げ茶色の木の箱があるのに僕は気が付いた。

1辺が30センチくらいの大きさで、きれいなつや消しに塗られている。

そこへ小さな、灰色のネズミがやってきた。

ネズミは僕の座っているところへ来ると、僕のほうを向き、

「この箱には、いいものが入っているから、好きなだけ使ってね・・・」

そう言って、ふたたび走り去っていった。



僕は、箱のフタをあけてみた。

中に入っていたのは、冷たく冷えた赤ワインと、ワイングラス。

緑色の瓶に貼られた白いラベルの、小さな黒い文字をよく見てみると、「フランス産」と書いてある。

僕はワインをグラスに注ぎ、一口飲むと、急に眠くなって眠りに落ちた。



夢のなかで、僕は海の底にいた。

海底の白い砂に突き出た小さな岩に、もたれかかってすわる僕の前には、人魚がいる。

長くふんわりとした、ブロンドの髪の人魚は外人で、白い肌にきれいに化粧をし、ホタテ貝のブラジャーを付けている。



人魚は僕にいった。

「この頃は私らも、景気が悪くて大変やねん・・・」

僕はすこし考えて答えた。

「そやけど、景気が悪いのは誰だって一緒やし、あんたらの努力が足りないんとちゃうの」

人魚は答える。

「そない言うたかて、私らだって生活していかなあかんのやし、ちょっとは協力してや・・・」



僕はそこで、夢から覚めた。

目の前には日に照らされた、黄色い砂の海が広がっている。

僕は立ち上がり、ワインを飲んでちょっとだるくなった体を引きずりながら、ふたたび砂漠の海を、先へ向かった。