「ブロッコリーの料理法」という問題について、
「和食に合わない」
と僕は思っていたわけなんですが、それは大きな勘違いで、単に
「和食を知らない」
だけだったことがわかりました。
「ブロッコリーを和食で料理する」といって、僕のイメージにあったものは、
「かつお節と醤油をかける」
というものです。
ほうれん草のおひたしの要領です。
たしかにブロッコリーに、かつお節と醤油だけかけて食べても、ブロッコリーの青臭さに味付けが負けてしまうところがあって、あまりおいしくない。
ポン酢をかけてもイマイチです。
しかしだからといって、それで
「ブロッコリーは和食に合わない」
と結論付けてしまうのは、「あまりに早計」というものでした。
「カツオやジャコやのだしに醤油」という味付けは、もちろん和食の基本になるものだといえるでしょうが、それだけのものでないことなど、いうまでもありません。
和食には、だしや醤油にくわえて、さまざまな調味料が使われるんですね。
「ポン酢」に代表されるように、「酸味」をくわえることで、食材の味を引き立てるということがある。
「ゴマ」の風味も、重要なものの1つでしょう。
あとは「辛み」。
唐辛子やら、ショウガやら、わさびやら、からしやら。
そういういろいろな調味料を駆使することにより、和食はさまざまな食材と「折り合い」をつけていくわけなのでしょう。
「調味料」というのも、なんとも不思議なものではないですか。
栄養的にみた場合、調味料は何かの役割を果たしているんでしょうか。
ゴマには「セサミン」という栄養分が含まれているとか、唐辛子には「脂肪を燃焼させる」働きがあるとか言いますが、すくなくとも動物は、調味料を必要とはしないでしょう。
人間だって、塩は別として、肉や野菜をたっぷり食べていれば、調味料をかけなくたって栄養失調で死ぬとは思えないから、調味料はその名のとおり、純粋に「味を調える」だけのものなのでしょう。
「うまい」とか、「まずい」とかいうことは、「栄養になるもの」と「害になるもの」を見分けるために、生物に元々そなわったものなのでしょう。
犬だって猫だって、うまいものとまずいものを見分けられなければ、生きていけないにちがいありません。
でもたとえば「パンダ」なら、「笹」以外のものを「うまい」と思うことはないのに対し、人間だけは、どんなものにでも、「うまい」と「まずい」を感じられる心をもち、さらに「もっとうまいもの」をつくり出せるようにもなった。
その能力は、おそらく「音楽」や「絵画」を生み出すのと、同じものなのでしょう。
不思議なのは、たとえば「肉」には、いわゆる「甘い、辛い、酸っぱい、苦い、塩っぱい」の「五味」は、ないわけです。
肉自体には味がない。
だから人間は、肉には味付けをしないと食べられないわけですが、もし「味」が「栄養」を見分けるものならば、栄養たっぷりの肉に、何かの味があってもよさそうなものでしょう。
また逆に、唐辛子のように、食べなくても問題がなさそうなものに、味があるのもわからない。
だから「味」というものは、単に「栄養」ということだけからは考えることができなくて、それとは切り離れて、人間の、今はやりの言葉でいえば「脳」が、独自に生み出したものだということなんでしょう。
「料理」は、かなりの知的作業であるということなんですね。
* * * * *
というわけで、「ブロッコリー」なんですが、「からし醤油」があうというのをコメントでもらい、昨日やってみたのでした。
「ブロッコリーにからし」は、ちょっと意外な感じもしますよね。
でも考えてみたら、ブロッコリーは「菜の花」と、味も姿もちょっと似ているところがあり、「菜の花のからし和え」は、和食では定番ですからね。
◎ ブロッコリーとしめじのからし和え
■ 材 料
・ ブロッコリー 半茎。今回は、房のところだけで、茎は使いませんでした。房を切りはなし、さらに大きな房は半分に切って、味がしみやすいようにしておきます。
・ しめじ 半パック。べつにしめじは、入れなくてもいいですが、ブロッコリーとしめじは、食べごたえも味も、とり合わせとしていいと思います。
・ じゃこ 1つまみ。
・ 醤油 大さじ1
・ みりん 小さじ1
・ からし 小さじ2分の1
■ 作り方
・ ブロッコリーとしめじは、塩をふった水でさっとゆでます。
・ ゆでたブロッコリーとしめじ、それにじゃこ、醤油、みりん、からしを器にいれ、よく和えれば出来上がり。
からしがブロッコリーの青臭さや苦味を、うまく消してくれるんですね。
ほかにも調味料を工夫することで、「ブロッコリーの和食料理法」が、まだまだいろいろできそうです。
* * * * *
昨日は他にも、いくつかおかずを作りました。
わかめ炒め。
「わかめを炒める」というのは、あまり聞かないと思うんですが、大変うまいです。
ワカメは、乾燥わかめより、塩漬けだけした鳴門わかめとか、今なら生わかめも旬で出回っていますから、そういうものの方がおいしいです。
乾燥わかめは水でもどし、鳴門わかめなら水に浸して塩抜きする。
生ワカメは、まったくゆでていないものなら、サッとゆでる。
よく水を切って、3センチくらいの長さに切る
フライパンにサラダ油とゴマ油を半々くらい、適当な量をいれ、ワカメを炒める。
ワカメは炒めると油はねするので、向田邦子は「塚原卜伝」のように、鍋蓋を片手に炒めたとのこと。
適当に炒めたら、かつお節たっぷりと醤油適量をいれ、ひと混ぜすれば出来上がり。
高菜漬けのゴマ和え。
これは高菜の食べ方の定番ですね。
ひろうず(がんもどき)の含め煮。
西京漬けは、魚屋で買ってきたもの。
味噌をサッと洗って水気を拭い、焦がさないよう弱火で焼く。
* * * * *
やはりこういうものが、つくづく幸せを感じるんですね。
このごろ各国料理に手を出していましたので、和食の食卓は久しぶり。
つい飲み過ぎてしまいました。
しかしこの「幸せを感じる」とは、どういうことなのでしょうか。
中華などは、どんなに、死ぬほどうまかったとしても、幸せを感じたことはないんです。
幸せを感じるのは、「和食に日本酒」か、「新福菜館三条店の餃子にビール」の場合だけ。
やはり「日本人」ということなのでしょうか。
朝めしは、「温玉うどん」。
冷凍うどんは、お湯でゆがくだけですから作るのもラクだし、また味も、下手なうどん屋のうどんよりよっぽどうまいですから、非常におすすめです。