2012-04-19

ニンニクも味の素も使わない炒め物。
「タケノコチャンプルー」
それに「3色そうめん」




「和食」といえば、刺し身や煮物、焼き物、蒸し物、吸い物などが中心で、「炒め物」は一般に含まれません。

「精進料理」の大きな影響をうけた和食でしたが、中国で炒め物が行われるようになったのは、禅宗が盛んだった「宗」の時代以降のことで、そのころには日本は、中国とは異なった、独自の道を歩むようになっていたということなんでしょう。



だから現代、家庭で炒め物をするとなると、どうしても「中華風」になってしまう。

和食は「強い火力」に対応した料理法を編み出してこなかったため、中国のやり方に頼るしかなくなってしまっているんですね。



しかし「和食」で、「炒め物をしてはいけない」と決まっているわけではないでしょう。

和食が「日本の伝統的な料理のあり方」という意味だとしたら、それが時代とともに、新しい要素をとり入れながら、拡大してきたって悪くなかった。

和食の基本的な精神はそのままに、新しい技術をとり入れていくことは、単にこれまでされてこなかっただけで、やろうと思えばいくらだってできるはずです。



家庭で料理を作ろうと思うとき、短時間でできる炒め物は、やはりありがたいものでしょう。

それを中華風ではなく、「日本風」にやる工夫を、日本人としては、やはり考えたいところなんですね。



それではその、「日本風」とはいったい何かが問題となってきます。



炒め物を、いちばん単純に考えて、「肉と野菜」を材料にし、「醤油」で味付けすることにしてみます。

実際に作って、食べてみればわかりますが、これだと「ひと味」足りないんですね。

なんだかぼやけた、ぱっとしない味になってしまいます。



ところがここに、「ニンニク」を1かけくわえると、不思議なことに、肉や野菜の味がくっきりとして、格段においしくなります。

これが「中華」の手法だということなんですね。



ところが日本では、ニンニクはあまり好まれない。

ニンニク自体というより、ニンニクを食べた人の、あの「体臭」が、日本人にはダメなんでしょう。

だから、

「ニンニクを使わずに、どう炒め物ができるのか」

を考えることが、「和食の精神をふまえた炒め物」を工夫するうえでポイントになってくるといえると思うんです。



それでは今、それが日本で、どのように解決されているのかといえば、「味の素」なんですね。

味の素もニンニクと同様、料理全体の味を「くっきり」とさせる効果がある。

だからニンニクをあまり使えない、日本の中華料理店では、大量の味の素を使うことになってしまっているし、日本の家庭で炒め物をつくる場合にも、「鶏ガラスープの素」という名前の味の素を、多用することになっています。



しかし「自然の食材の味」を尊ぶ「和食の精神」からいえば、工場で人工的につくられた味の素は、あまり使いたくないところです。

そこで、

「ニンニクも味の素も使わない炒め物」

を、ぜひ工夫してみたいと思うんですね。



そのヒントは、じつは沖縄の料理にあったりします。

沖縄の代表的料理である「ゴーヤチャンプルー」は、肉とゴーヤや豆腐など野菜に、醤油で味付けし、最後に「かつお節」をふりかける。

このかつお節が、味の決め手になっているんですね。



味の素とは、けっきょくは「和風だし」の味だということです。

味の素の成分である「グルタミン酸」や「イノシン酸」は、昆布だしやかつおだしに含まれる成分と、おなじものなんですね。

だからかつお節やじゃこなどをうまく利用すれば、ニンニクも味の素も使わずに、おいしい炒め物ができるということなのではないでしょうか。



というわけで、昨日はまずは手堅く、ゴーヤチャンプルーを応用し、「タケノコチャンプルー」を作ってみました。

これはなかなか、悪くなかったですよ。



◎ タケノコチャンプルーの作り方

■ 材 料


・豚こま肉 150gくらい

・タケノコ 水煮のものを2分の1

・木綿豆腐か焼き豆腐 2分の1丁



・合わせ調味料 醤油大さじ1、酒大さじ2、水大さじ2、おろしショウガ1かけ分

醤油はうすくちを使うと、色がきれいに仕上がります。



・塩 少々

・かつお節 2gとか3gのもの1袋

・青ねぎ 適宜

・サラダ油 大さじ2+大さじ1



■ 作り方

タケノコは、2mmくらいの厚さで、好きな形に切っておく。

豆腐は手で、適当な大きさにちぎっておく。



フライパンに、サラダ油を大さじ2ほど、多少たっぷりめでいれ、中火で温め、豆腐の表と裏をじっくり焼く。

ときどきフライパンをゆすって、焦げ付かないようにしながら、きつね色に焼けたら箸で1つ1つ裏返し、反対側を焼く。

反対側もきつね色に焼き色がついたら、皿にとり出しておく。



あらためてサラダ油大さじ1をフライパンにいれ、強火にかけ、肉を炒める。



肉の色が変わったら、皿にとり出しておいた豆腐と、タケノコをいれ、さらに炒める。

タケノコも豆腐も、火は通っていますから、炒めるのは火を通すためというより、豚肉のうまみを吸わせることが目的となります。



合わせ調味料をいれ、火加減を中火におとし、ときどき鍋の上下を返しながら、調味料の水気がなくなるまで煮詰めます。

これで、調味料の味を、材料にしみ込ませます。

あとは味見をして、塩気が足りなければ塩少々をふり、さらに全体を混ぜれば出来あがり。

皿に盛ったら、かつお節を1袋分、たっぷりふりかけます。



タケノコチャンプルー。

これは「死ぬほどうまい」とまではいきませんが、手堅くおいしく、味のポイントとして、物足りないところは全くありません。

今回は色目もかねて、青ねぎをふりましたが、大葉をきざんだのをふっても、おいしいんじゃないかという気がしました。

ゴーヤチャンプルーのように、最後に卵で閉じてみても、またいいかもしれません。



酒は焼酎お湯割り。

炒め物は、ニンニクを使っていようが、使うまいが、残念ながら日本酒には合わないんですね。



* * * * *



今日の朝めしは、変わりそうめん。

納豆とオクラ、それに梅干しで、「3色そうめん」としてみましたが、これがまたうまかったです。



◎ 3色そうめんの作り方

■ 材 料

・オクラ 5本

・納豆 1パック

・梅干し 2個

・かつお節 2~3gのもの1パック

・海苔 きざみでもちぎったものでも。適当な量

・そうめん 2~3束



■ 作り方

オクラはサッと塩ゆでし、小口切りにする。

納豆は、よく練って、付属のタレで味付けする。カラシはいれない。

梅干しは種をとり、かつお節2分の1パックといっしょに包丁でよくたたき、梅かつおにしておく。



そうめんを時間通りにゆで、ザルにあけて水で洗い、器にもる。

上に残りのかつお節と海苔をかけ、オクラ、納豆、梅かつををのせる。



かけるのは、めんつゆでもいいですが、かつお節がたっぷり入っていますから、生醤油で十分いけます。