2012-03-27

万能調味料キムチをつかった簡単料理。
「豚キムチ」




キムチはほんとに便利な食材で、常備しておくと重宝しますよね。

そのまま食べてもうまいのはもちろん、さまざまな料理に、半ば調味料のように使うことができる。



韓国人の友人が教えてくれた、「韓国の貧乏人の料理」として、「キムチクッパ」というのがあります。

これは要は、キムチを水で煮ただけの汁にご飯を入れて食べるもので、日本の食べ物でたとえるならば、「お茶漬け」とか「日の丸弁当」とかに当たるようなものなのでしょう。

韓国でも食堂などには、もちろん置いていないメニューですが、韓国はキムチが安いから、貧乏人はそれしか食べられないということなのですね。

しかしこれは、キムチがそれだけを汁の材料にしても、とりあえず食べられる味になるということを意味しているといえるでしょう。



キムチを冷奴にのせたり、ちくわと和えたりするのはおいしいですね。

豚肉といっしょに炒めれば、豚キムチ。

豚キムチに水を足して煮、豆腐を入れればキムチチゲ。

豚キムチといっしょにご飯を炒め、玉子をのせればキムチチャーハン。

鍋に入れるのも、もちろんよし。

キムチがあれば、どんなスタイルの料理でも、できてしまうのではないかと思えるほどです。



キムチを料理につかう場合は、1ヶ月くらいたって、酸っぱくなったものの方がおいしいです。

いちおう賞味期限は書いてありますが、キムチの場合、それはほとんど関係ありません。

発酵食品ですから、冷蔵庫に入れておけば、そうそう簡単には腐らないんですね。

ですからキムチが古くなり、賞味期限を過ぎてしまっても、絶対に捨てないで、「これからが本番」だと思って、どしどし料理に使うのが正しいです。






というわけで、昨日は豚キムチ。

キムチはスーパーでも買えるんですが、それよりやはり、韓国食材店や韓国料理屋で売っているもののほうが、安いしおいしいです。

キムチを料理に使おうとする場合、汁が味出しのポイントになりますが、韓国食材店や料理屋のキムチのほうが、汁がたっぷり入っていることが多いです。



豚キムチは、ふつうに豚肉とキムチを炒め、調味料を入れ、野菜を炒め、というようにして作っても、何も問題ありませんが、昨日はちょっと変わった作り方をしてみました。

「もみ込み式・・・」

これは僕が以前、韓国でホームステイしていた時に、当時64歳だったホストのお母さんが、やっていたやり方を応用したもので、豚肉とキムチを炒める時に、あらかじめ豚肉に、キムチの味をしみ込ませておくというものです。

焼肉やホルモン焼きの肉を、あらかじめタレに漬け込んでおくというのと、おなじ考え方ですね。

豚肉を単独で炒めたときの、香ばしい風味はなくなりますが、漬け込むことで豚肉とキムチが渾然一体となり、これはこれで、また別のおいしさがあります。



豚コマ肉と、キムチを汁ごとたっぷり、それに酒とみりん、醤油を各大さじ1くらい、それにおろしニンニク1かけ分を器に入れ、手で混ぜ、調味料を肉にもみ込みます。

韓国では、調味料と材料を和えるとき、手でやることが多いんですね。

料理の味を、「オモニ(お母さん)の手の味」と表現したりもするそうです。

べつにここは韓国ではありませんから、箸でやってもかまわないわけですが、他の国の料理をつくるとき、その国の気分を味わってみることも、料理の楽しみ方の1つでしょう。



ゴマ油をひいたプライパンを強火で熱し、もみ込んだ豚肉とキムチを炒めます。

もみ込みをしないのならば、まず豚肉、それからキムチを炒め、調味料を入れるということでもかまいません。

豚肉にキムチの赤い色が付いているので、火が通っているかどうか、ちょっとわかりにくいでしょう。

生焼けにならないよう、よく炒めます。



豚肉とキムチに火が通ったら、野菜を炒めます。

野菜は、キャベツなどではなく、水が出ず、香りが強いものを入れるのがいいと思います。

昨日は長ねぎとしめじを入れました。

玉ねぎやシシトウ、ニラとかでもいいと思います。

上下を返しながらさらに炒め、キムチや調味料の汁気が飛んだら、炒め終わり。

最後にすりゴマをふって、出来あがりです。



これはうまいですよ。

ほっくりとした、やさしい味がします。

調味料をまったく入れずに、キムチだけの味で作ってしまうのも、もちろんまた悪くありませんが、調味料を入れると、コクと深みが出てきます。

さらに砂糖を入れ、すこし甘くしてしまうのも、悪くないかと思います。



あとは、ほうれん草のナムル。

せっかく韓国式のおかずですから、付け合わせも韓国式がいいでしょう。



ほうれん草は、おひたしを作るのと全くおなじ要領で、ふつうにゆでます。

おひたしの時もそうですが、ほうれん草は面倒でも、1株ずつゆでるようにした方が、ゆで湯の温度が下がらず、アクがきちんと抜け、しゃっきりとゆで上がります。

ゆで上がったほうれん草は、水に取って冷やし、よくしぼります。

これを3~4センチくらいの、食べやすい長さに切っておきます。



器にほうれん草、それに塩少々、醤油大さじ半分、おろしニンニク半かけ分、すりゴマ大さじ1、ゴマ油大さじ1、それぞれ「くらい」を入れ、手でよくもみ込みます。

これも圧倒的に手でやった方が、味がよく入ります。



ほうれん草の食べ方として、これもかなりイケるものの1つですね。



それにアサリの潮汁。

酒半カップほどを入れた水で、砂出ししてよく洗ったアサリを煮、殻がひらいたら塩と醤油で味付けし、器に入れたら、とろろ昆布を添える。



これは、単品としてはいいんですが、じつは献立としては、大失敗でした。

豚キムチとほうれん草のナムルの、ニンニクやゴマ、唐辛子の強烈な味にやられてしまい、アサリや昆布の微妙な味が、完全に消し飛んでしまったんです。

食べていても、うまいのか、まずいのかすら、わからない。

やはり韓国風のおかずには、韓国風の汁物にしないとダメですね。



酒は、焼酎のお湯割り。

スグキに日の菜も、ぜんぜん合わなかったです。



アサリの吸い物は、今朝うどんにして食べてみましたが、これだけだと、非常にうまかったです。