2012-02-28

魚屋で教えてもらった生節料理2品。
「生節おろしポン酢」「生節豆腐」


おっさんの第一の特徴は、「若い人を見ると説教したくなる」ことだそうだけれども、僕はまさにその特徴に当てはまる。

最近は、若い人と接する機会も少なくなっているから、それほど説教することもないけれど、たまに「飛んで火に入る夏の虫」のような人が現れることもある。



最近、2年しばりが終ったイーモバイルを切り替えて、ポケットWi-Fiにしたのだけれど、下りで最大42メガ出るという触れ込みだったのが、使ってみると、1メガいかないことも多い。

500キロくらいのこともあり、そうなると最大値の100分の1ということになる。

もちろん42メガの最大値が出るとは、思ってはいなかったけれども、悪くても10メガくらいは出るのだろうと思うところだろう。

ところが500キロというのでは、自宅の光ファイバーを解約して、イーモバイル一本にしようと思っていた予定が狂ってしまうことになる。



それで調べてもらったら、「利用者が多いから回線が混み合っていて、基地増設も予定がないし、仕方がない」とのこと。

「それじゃ解約したいと思うから、2年しばりの解約違約金なしで解約できるようにしてくれ」と頼んだら、「検討する」と言って、昨日折り返しの電話があったという次第。

結果は「できない」とのことで、まあそう簡単に契約が変更できるわけもないから、それは仕方がないと思ったけれど、担当者の応対が気に入らなかった。

男の子で、たぶん20代だと思うのだけれど、理系の子なのだろう、早口で、いかにも「原稿を読んでいる」という調子、口先だけで、「早く厄介払いしたい」という気持ちがミエミエだったから、それから30分ほど、説教オヤジの出番となった。



説教の趣旨は、「言い方が悪い」というもので、「もっとゆっくりしゃべれ」という話し方指導もあり。

後半は、態度がすこし改善したので、ちゃんと褒め、最後は「ありがとう」と言って電話を切ってやった。

若い頃には、「おっさんは面倒くさい」と思っていた、その通りのおっさんに、いま自分がなっている。

ほんとうは自分も、若者の一員でありたいと思っているのだが、年齢はそれを許してくれないということだ。






近所の商店街に行きつけの魚屋があるのだけれど、そこへ行くのは一種の「賭け」となる。

そう大きな魚屋でもないから、入荷するものも毎日決まっていないし、売り切れになることも多い。

こちらが事前に献立を思い描いて行っても、その通りのものがあることはまずなく、かといって何も買わずに店を出るのは、お店のお兄ちゃんやおばちゃんと仲良くなってしまった手前、できにくい。

そこで店で、一発勝負で買うものを決め、それで何を作るかをその場で考えないといけないことになる。



昨日も予想通り、思っていたものはなかったけれど、「生節」があったので、それを買うことにした。

生節は生のカツオを蒸し上げたもので、僕は京都へ来てはじめて見たけれど、全国に流通しているらしい。

どうやって食べたらいいか、当然わからないのだけれど、そこは魚屋、きけば親切に教えてくれる。

生のままで食べるのが一番おいしいのだから、2切れのうち1切れを、大根おろしにポン酢で食べ、残りの1切れは、それで豆腐を炊いたらいいとのことだった。



まずは生節おろしポン酢で酒を飲む。

シーチキンとちょっと似たところもあるのだけれど、それよりはるかにプリプリしている。

カツオは「たたき」もそうだけれど、ただ生のまま刺身で食べるより、すこし火を入れた方がうまいということなのだろう。

しかも値段は安いのだから、まさに庶民の食べ物だ。



あとは酒を飲みながら、豆腐を煮る。

だしは昆布と削りぶしでとっておく。

これはやはり、ほんだしなどではダメだろう。

せっかくの生節が、かえってまずくなってしまう。

だしに酒とみりん、醤油で味付けした煮汁で、大きめにほぐした生節をサッと煮る。

これは「生節はもう火が通っているのだから、煮過ぎるとパサパサになる」と、魚屋のおばちゃんに念を押された。

4~5分で火を止めて、生節はこのまま、煮汁につけて味をしみ込ませる。



生節を煮た煮汁を別の鍋にとり分け、今度は焼き豆腐を煮る。

魚と何かを炊き合わせるとき、いっしょに煮ずに別に煮るのは、京都の人の得意技だ。

生節は、本当にサッと煮ないといけないし、豆腐はゆっくり煮ないといけないから、いっしょに煮てはいけないというわけなのだ。

豆腐は強い火で炊くとスがはいるとのこと。

沸騰するかしないかくらいの火加減で、30分くらい煮た。



最後に水菜を入れ、だしにひたしておいた生節をもどし入れれば出来あがり。

「野菜は、白菜などを入れると、水が出て汁がうすまるから、入れるとしてもせいぜい水菜」というのも、魚屋のおばちゃんの指導。



七味をふって食べる。

炊いた生節は、ホクホクになって、またうまい。

味がたっぷりとしみた豆腐も絶品。



残っただしでうどんを煮たが、そうめんを入れてもまたおいしいとのことだった。