2011-11-11

魚介とトマトの黄金のとりあわせ。
「海の幸のスペイン風トマトシチュー」


やはり日本の冬は、何といっても「鍋」なわけで、この鍋をスペイン風に作ってみるのも悪くないことだ。

鍋というと、スペインでは「シチュー」になる。シチューはものすごく簡単にいってしまえば、材料を炒め、そこに水とソースの材料を入れ、グツグツ煮て出来あがりということになるが、材料の下準備を、材料に応じてしてやらないといけなくなるから、作り方はたしょう複雑にはなる。

今回は魚のシチュー。




材料はまちがいなく、魚なら何を使ってもいい。今回は魚屋に出ていたブリのあらとアサリを使ったが、鯛でもタラでも、鮭でもサバでもいいし、あらでも切り身でもいい。エビやイカ、さらにムール貝など入れるのはもちろんいいし、入れればまさにスペイン風になる。

あらは、この料理では炒めて使うし、味付けも濃いから、何もせずそのままでもいいかもしれないが、日本人としてはやはり、塩をふってしばらくおき、水でよく洗って水気をふき取っておくくらいのことはしておきたい。

アサリは海水くらいの濃さの塩水にしばらくつけ、砂出しして、そのあと水で洗っておく。

野菜はまず、ジャガイモは欠かせないだろう。乱切りにしておく。

あとは適当なものを色々入れたらいいと思うが、昨日使ったのはピーマンと赤パプリカ、それにシメジ。

玉ねぎ半個とニンニク2かけを、みじん切りにしておく。



出汁は昆布でとるが、今回アラが大量だったので、中骨の部分だけ、昆布といっしょに出汁に使うことにした。

ぶりの中骨と昆布を水から火にかけ、アクを取りながら弱火で30分くらい煮る。



フライパンにオリーブオイルをたっぷりと入れ、玉ねぎとニンニクを、中火でていねいに炒める。5分くらい炒め、玉ねぎがしんなりし、ニンニクもきつね色になってきたら、これを皿に取りだしておく。

あらためてフライパンにオリーブオイルをたっぷり入れ、ブリのあらを中火でじっくり焼く。イカやエビなどを入れるばあいも、このタイミングでいっしょに炒める。

ブリの表裏を焼いたら、ここにアサリを入れ、白ワインをひと振りし、フタをしめ蒸し焼きにする。

アサリの口がひらいたら、アサリだけ取り出しておく。エビやイカを入れるばあいも、やはりここで取り出す。

さてここで、さっき炒めた玉ねぎとニンニクをもどし入れる。フライパンは大きいのと小さいのと、2つあると便利だ。

カットトマトの缶詰を入れる。

昆布とブリの中骨でとった出汁を入れる。

シメジなどすぐ煮えるもの以外の野菜と、ローリエを入れる。

ここで味付けする。

とりあえず塩を2つまみくらい。塩はうすめに入れておき、最後に味を見ながら調整する。

パプリカとかチリパウダーがあれば、入れてみると、味がすっきりとして、色も鮮やかになる。

15分か20分くらい煮たら、味を確認し、うすければ塩を入れる。

チリパウダーを入れたときは、コショウは振らないほうがいいと思うが、もし入れていなければコショウを振ってもいい。

しめじを入れ、取り出しておいたアサリ、それにエビやイカがあればそれを入れ、ひと煮して出来あがり。

みじん切りにしたパセリをふりかけて食べる。




というわけで完成した、海の幸のスペイン風トマトシチュー。

これは、申し訳ないが、ひじょうーーーーに、うまい。

まずブリがトロトロに煮えているわけだが、それとトマト、それにオリーブオイルやらニンニクやら、玉ねぎやらの味が、嘘のようによく合う。

さらにジャガイモやらピーマンやらと、ブリとがまたベストとも思える組み合わせ。

日本人にとっては、「魚といえば醤油だろう」と思いがちだが、その既成概念をやすやすとひっくり返してくれることは、まちがいない。

パンとワインにも、いうまでもなく最高だ。