2011-06-15

美々卯のうどんすき

うどんすき。これは大阪を代表する食い物のひとつだといって間違いないだろう。
ぼくは10年くらい前にいちど食べたことがあったきりだったのだが、せっかく近くに住んでいるのだし、昨日大阪の知人といっしょに、高島屋なんば店7階にある美々卯なんば店へ、あらためてこれを食いに行ってきた。

大鍋にだしが張られて、そこに重箱にきれいに盛られたうどんやら具やらを、若いお姉ちゃんが並べてくれる。
ほとんどはもう下ごしらえがされて、火が通されているから、かしわに火が通ればもう食べられるようになる。

入っているのはかしわやら穴子やら、えびにはまぐり、湯葉とひろうず、にんじん白菜しいたけ三つ葉、それに里芋と焼き餅でしめるようになっている。
どれもきれいに形がととのえられ、手が加えられていて、ちょっと京料理をも思わせる風情だ。
基本的にうどんすきというのは、ごちそう料理なのだ。

ところがこれを、うどんといっしょに煮るというのが、なんとも大阪らしい感じがする。
そこから伝わってくるのは、大阪の人のうどんにたいする愛着だ。
大阪の人は、ごちそう料理にもうどんを入れてしまうというほど、うどんが好きということなのだよな。

そういう話を大阪の知人としていたら、たしかにその通りで、実際大阪には、どういう関係だか知らないが、讃岐から来た人が多いのだそうだ。
知人の母上もやはりそうで、うどんどころの讃岐だから、母上は毎日うどんを食べないと気が済まないほどだとのこと。

僕はそれを聞いて、大阪のラーメンに関する謎が、ひとつ解けたような気がした。
日本の多くの地方に、その土地その土地で特色のある、昔ながらのラーメンというものがあるものだ。
ところが大阪には、最近の新しいラーメン屋はもちろんそれこそ山のようにあるものの、昔ながらのラーメンというものは、なんとなくあまり無いような気がしていた。
もちろん僕はまだ、大阪のラーメンをひと通り食べるというところまでには到っていないから、たしかなことは言えないけれど、なんだか大阪は、ラーメン文化が希薄であるような感じがしていたのだ。

しかしそれはたぶん、大阪の人はあまりにうどんが好きだから、ラーメンが入り込む余地がなかったということなのだな。
ラーメンは戦後、うどん・そばの打ち立てた牙城を切り崩すことで、今日の隆盛を築き上げてきたのだろう。
うどんやそばにはない、現代風の味付けで、屋台からスタートしたラーメン屋は、これだけ支持され、数を増やすに到った。
でも大阪では、そのうどんの牙城を、切り崩すことができなかったということなのじゃないか。
おまけに大阪では、うどんに加えてお好み焼きやらたこ焼きやらも好まれるから、なおさらラーメンの入り込む余地はなさそうだよな。

美々卯のうどんすきは、これ自体かなりの量がある。
昨日はおまけに、ちょっとした前菜の付いたコースを頼んでしまったから、ビールに酒を2合ほど飲んで、死ぬかと思うくらいお腹がいっぱいになった。

美々卯 なんば店うどん / 難波駅(南海)大阪難波駅なんば駅(大阪市営)
夜総合点★★★★ 4.0