2011-05-24

鯛そうめん

きのうの昼めしは、角煮丼。

とろけるかと思うような角煮と白めしとのハーモニー。言うまでもなくこれはたまらん。

晩酌は鯛のかぶと煮。いま鯛が旬で、どんどん安くなっているのだな。切り身も安いが、天然物の鯛の頭、ふたつで198円。広島だったら、これは1,000円くらいはしたものなのだが、京都ではわざわざ鯛の頭だけ食べようというひとは、あまりいないということなのだろう。

ごぼうといっしょに炊き合わせ、さらにそうめんを添えてみた。

そうめんを添えるというのは、以前コメントで教えてもらったもので、広島ではふつうの食べ方なのだそうだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AF%9B%E9%BA%BA
これは要は、鯛のだしの出たおいしい汁を、一滴たりとも無駄にはしないという気持ちの表れなのだろう。野菜を炊き合わせるだけでなく、さらにそうめんに、汁を残らず吸わせてしまうという、そこまでやる貪欲さというのが、僕はたまらない。

だいたい、出た脂をすべて落としてしまう焼き物にたいして、煮物というのは、脂のうまみ成分をすべて活用しようという、貪欲な調理法なのだと思う。焼き物が男性的であるのにたいして、煮物は女性的であると言えるかもしれない。

煮物の煮汁には、材料から出たうまみ成分がすべて溶け出してきて、それらは外から入れられた調味料と融合することで、新たな、次元のちがううまみ像を形づくり、そしてまた材料にもどっていく。こうやって、煮汁を媒介として、味の行き来があるところが、焼き物にはない、煮物の特徴であって、僕はそういうのがすごくおもしろいと思う。

ただそうめんは二束使ってしまったら、けっこうな量になってしまい、それが砂糖をたっぷり使った、こってりした煮汁を吸い込んだのをペロリと食べてしまったから、ちょっとそれは食い過ぎだった。

酒は京都洛中、佐々木酒造「古都」本醸造。今回の遠征で手みやげを買うときに、自分用に買っておいたもの。佐々木酒造は、俳優佐々木蔵之介の実家だが、はんなりとして素朴な、いかにも京都らしい酒をつくる。