2011-04-27

大阪新世界 「八重勝」

僕は1年前から京都に住んでいるから、大阪へも電車で1時間もかからずに行けるのだけれど、これまでは京都をまわるので手一杯で、大阪はほとんど行ってなかった。しかしそれも、なんとももったいないことであるのは言うまでもないわけで、とりあえず手始めに、昨日は新世界へ行ってきた。

初めて見た通天閣。もともとエッフェル塔を模して作られたということなのだが、東京タワーほど大きくなってしまうと、近くへ行ってしまうと全貌が見えず、根元のところしか目に入らなくなってしまうわけだけれど、これはちょうどいい大きさで、商店街の向こうにかなり大きな姿を晒しているというようになっていて、けっこうな迫力がある。以前は夜になるとイルミネーションに照らされるようになっていたそうだが、今は節電のためだろう、上の展望台の部分がすこし光るという程度に抑えられていた。

通天閣のまわりは飲食店街になっていて、わりと小さな飲み屋がゴシャゴシャと密集する、僕好みの一帯となっている。名物の串揚げ屋が多く、またそれが、さすが大阪という感じのド派手な装い。

僕は個人的には、東京の「おしゃれ」な感じより、こういうディープな感じのほうが好きですな。

しかし一帯をいろいろ歩いてみると、通天閣のすぐ近くは、どちらかといえば観光客向けのエリアになっているみたいで、新しい感じの店が多くて呼び込みも多く、しかもこのご時世だからなのか、あまりお客が入っていないみたいだった。

ところがそこからさらに奥、南のほうへ下っていくと、「ジャンジャン横丁」という細い路地に、串揚げ屋はもちろん、寿司屋だの、食堂だの、立ち飲み屋だの、極小の飲み屋がぎっしりと軒を並べる一帯があって、そちらはどの店も大体いっぱい。どうやら地元の人は、こちらに来るということらしい。そのなかでずらりと行列ができている串揚げ屋があったので、そこに入ってみた。

「八重勝」という店なのだが、見たところ他には行列ができている串揚げ屋はないようだったから、ここがひとつの人気店であるということは、まちがいないだろう。ロの字に大きなカウンターがあって、人がぎっしりと座っている。中で店員が立ち働く様子は、東京で似たものを上げるとすると、「回転寿司」なのじゃないか。出てくるものはまったく違うが、全体がかもし出す雰囲気はそっくりだった。

串揚げは肉から魚介、野菜、などかなりの種類があり、東京の串揚げ屋はよく、おまかせで板さんが勝手に色んなものを出してくるという店が多いが、こちらは各自、自分の好きなものを頼むようになっている。やはりああいう、カウンターにいる調理師が勝手なものを出してくるというのは、東京の文化なのだろうな。

東京の串揚げ屋の場合は、調味料のほうはソースの他に、塩だのなんだの色んなのがあって、好きなのが選べるようになっているわけなのだが、こちらはソース、しかもいわゆる、昔ながらのすこし辛めのウスターソース一本。それが大きな器に入って、カウンター上に並んでいて、客は自分で串揚げをそこに浸して、食べるということになるわけなのだが、ここで有名な、噂にだけは聞いていた、「二度漬け禁止」というキマリがあるわけだ。食べかけのものを、公共のソースに浸すというのは、ダメだということなのだな。あと箸も出されておらず、これも同じ理由で、口をつけた箸をソースに漬けられると困る、ということみたいだ。

付け合わせのキャベツを、これもやはりソースに浸したものを、バリバリとかじりながら、次から次へと注文して食べまくる。「どて焼き」という味噌煮込みのホルモン、牛肉、豚肉、イカにタコに穴子にホタテ、アスパラだのレンコンだの、シイタケ、玉ネギ、ジャガイモ。ビールを伴に、食べまくる。辛口のソースに浸すのでさっぱりしているから、いくらでも食べることができる。気付いたら最後は、死ぬほどお腹がいっぱいになっていた。

二人でこれだけ食べて、ビールを計3杯飲んで、お勘定は6千円。さすがですな。


八重勝 串揚げ / 南霞町駅動物園前駅新今宮駅
夜総合点★★★★ 4.0