2011-03-30

サバの船場汁

今日は午前中は、なんとかやることはやったのだけれど、午後3時から東京電力会長の記者会見をやるというので、昼寝もそこそこにパソコン前に待機して、それから延々2時間、はじめは「ニコニコ生放送」で、そちらの視聴者が10万人を超えてしまって重くなり映像が途切れ途切れになってしまったので、後半は「USTREAM」で、「僕はこんなことしていていいんだっけ」とちょっとおもいながらも、けっきょく最後まで見続けてしまった。
TBSでも放映していたらしいが、「こんなときこそ」とおもうNHKは、放映していなかった。国会中継も、いまや放送するのはNHKではなくニコニコ生放送だし、まあ今はちょうど高校野球もやっていて、そちらを楽しみにしているひとも多いということだろうけど、時代は確実に、移り変わっていっているなとおもわせる。

東電は社長が、震災3日後くらいにいちど記者会見して以来、公に姿を表していなかったわけで、だいたいこれだけの問題を起こした会社の社長が、記者会見を茶坊主みたいな下っ端の社員にまかせ、2週間以上も顔を出さないというのはありえないこと、そしたら病気で休養しているという話が伝わってきて、とうとう昨日になって入院してしまったのだそうだ。
大企業というのは平時においては、何でも社員がやってくれるのだから、社長はその上であぐらをかいていればいいわけだが、こういう緊急時こそまさに出番、マニュアル通りにしか動けない社員に代わってどれだけリーダーシップを発揮できるかということが社長の腕の見せ所になるはずなのだが、その大事なところで体調を崩すというのは、まさに無能の証明、権力闘争に長けただけのボケナスだったということを世に広く知らしめたことになる。

日本はもう、60年以上にわたって戦争もないし、平和ボケしてしまっているのだろうな。東電社長のボケナスぶりは、おそらく東電にかぎったことではなく、日本の多くの会社がおなじようなものなのじゃないかと想像する。
会社にかぎらず政治家も似たようなものなわけで、地震からもう3週間になろうとするのに、菅首相のリーダーシップが感じられる場面はまったくない。思い付きで野党に閣僚入りを持ちかけたりして、それが拒否されると、そのあとは何もなし。
そういえば東電社長のあのメガネ越しの濁った眼と、菅首相の眼とは似ているな。
腐った魚の眼だ、あれは。

今日の東電会長の記者会見は、もうあの社長じゃさすがに無理だと判断したのだろう、会長直々のお出ましとなったわけだが、71歳の会長、がんばって2時間の記者会見をつとめてくれたとおもうが、姿勢はあくまで殿様的で、原発の問題が近隣住民にどれだけの恐怖と不安をあたえているのかということについては、想像力が及んでいないように見えた。
また原子炉の内部についても、やはり想像力が及んでいないと僕にはおもえて、会長「ここ一週間は原子炉の状態はやや安定している」というのだが、それは「温度」ということだけをとればそうかもしれないが、原子炉をその温度に保つために注ぎ込まれる水が、高濃度の放射能汚染をともなってまわりに漏れ出していることにしばらく気付かず、気付いたときにはそれをどうやって排出したらいいのかもすぐには答えが見つからないという状況、またそれがまわりの海や空気を次々と汚染しつつあるということ、そういうことに危機感をもっているようにはおもえなかった。

こうやって書きながらわかってきたことなのだが、東電には「原子炉」の専門家はいても、「危機管理」の専門家がいないのじゃないか。
原子炉の専門家としての立場からは、「原子炉の温度を下げる」ということが何より大事な、至上命題であるということになるわけなのだが、いまや危機はそのことよりも、原子炉のまわりにあふれた放射能に汚染された水をどう片付けるかということが、緊急の課題であるように傍からはみえる。
水は漏れ出し続けているわけなのだから、これからもしその水によって、建物や敷地内の放射能濃度が誰も近づけないくらいに上がってしまったら、それこそ一巻のおしまいなのじゃないか。
いやもちろんこれは素人考えなのであって、ほんとのところどうなのかは僕にはわからないが、すくなくともこの問題は「原子炉の専門家」にとって「専門外」のことであることにまちがいはなく、「想定外の事態だったから仕方がない」というひとたちが、専門外のことにほんとにきちんと対処できるのかということは、疑問を感じる余地が十分にあるわけだ。
またすくなくとも今日の記者会見で、会長や副社長たちが、世の中の素人たちがそこに不安を覚えているということを、わかっているという様子はまったくなかった。

原発の問題もそうだが、今後の日本も、どうなっていくのか、まったく見えないよな。



昨日はいつも行くグルメシティに、おいしそうなサバがわりと安く売っていたので、「船場汁」にすることにした。
サバというとだいたいは、塩焼きか煮付けだとおもうけれど、この船場汁は嘘かとおもうほどうまいのだ。

ひとつだけ気を付けることは、臭みをとるため、サバはあらかじめ多めの塩をふって、2、3時間置いておく。
あとはこれを大根やにんじんなどといっしょに、昆布だしに多めの酒、みりんと淡口しょうゆでうすめに味付けした汁でしばらく煮るだけ。

好みでショウガをすこし入れてもいいが、入れなくたって臭みなどはまったくなく、「これがサバか」とおもうようなおいしいだしが出る。

酒はふたたび、福島の酒「大七」、しかし今回は純米ではなく本醸造の「からくち生もと」。
純米のほうがやはりうまいが、これはこれで悪くない。
いわゆる辛口で、「淡麗」とはまったく逆の、日本酒らしい風味が強めのタイプ。熱燗にしたらほんとにうまそう。
昨日はこれを1合で、十分気持ちよく酔っ払った。

大七からくち生もと



今日の昼めしは、この船場汁に白めし。
白めしは片手鍋で炊いたもので、何かをぶっかけるのではなく、そのもので食べるのはじつははじめてだったのだが、これはけっこうイケてました。
炊き終わってから蒸らすときに、5分ほど最弱の火で鍋を温めておくのだが、そうすると水気が飛んでいい感じになる。