2010-10-05

豚バラ肉と水菜の鍋


いやしかし鍋っていうのは、ほんとにうまいな。
なんでこんなにうまいのか、去年はよく解らず、鍋というものは、世の中で一番うまい食い物であるとまず決め、そのほかのものがどうして鍋よりおいしくないのかを考えるという作戦に出たわけなのだが、今年はちょっと解った気がする。
要は、しゃっきりした生の材料に、火が入って、味が入って、そのしゃっきりしたものが、ちょっと崩れかけた、しゃっきりと崩れたのが入り交じった、そういう状態の良さなのだな。

生のものが一番うまいという考え方はもちろんあって、それは正しいし、また、たっぷり煮込んだりして、トロトロになって、味もしみまくった、そういうものがうまいという考えもあり、それもまた正しい。
しかしその両者が相合わさり、せめぎ合う、そういう状態というのは、ある意味いちばんスリリングなのであって、鍋っていうのは、そういう良さなんだな。
「熱いうちにお上がりなさい」という、よく女将とかに言われたりしがちな言葉があるわけだが、それはまさに、鍋のためにあるようなものなわけだ。
鍋はとくに、そのまま置いておくと、急激にまずくなるからな。

ちょっと解りにくい例えにはなるのだが、僕はビートルズだったら、頂点を極めたといわれる、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」よりも、その次の「ホワイトアルバム」が好きだったりするのだ。
同じ意味で、レッド・ツェッペリンだったら、「レッド・ツェッペリンⅣ」よりも、その次の「聖なる館」。
これは、頂点を極めて、そのあと下り坂に入っていく、ちょうど入り口にあたるものなのだ。
その、張り詰めていたものが、ちょっと緩くなる、ちょっと腐り始める、そういうところが僕は、とても好きだったりするわけなのだが、これはたぶん、鍋がうまいというのと、まったく同じことなのだな。

というわけで、写真は材料の半量、これを一気食いして、ちょっと一息入れて、また後半、残りの半分を一気食いする予定。
ほんとは僕は、つまみはちびちび食べるのが好きなんだが、鍋だけは、そういうわけにはいかないな。