京都も例外ではなく、洋食屋は多い。繁華街のことはよく解らないが、住宅街の裏通りなどに、いかにも「街の洋食屋」という風情の店を、ものすごくたくさん見かける。これどうなんだろう、ほかの都市に比べても、京都には洋食屋が多いのじゃないかという気がするのだがな。
京都といえば、当然和食だろうと、外から見ると勝手にイメージするのだが、実はラーメンがうまかったり、この洋食屋や、あと喫茶店とパン屋も多い。不思議なところだ。京都といえば、まずは「古都」なのだが、同時に大学の街でもあるわけだから、意外に進歩的なのかもな。共産党も盛んだし。歴史と革新が共存するところなのだ。おもしろいな。
この「手づくり洋食屋 手塚」は、食べログで調べて、わりと評判がよかったから来てみた。わりと新しい感じの、こぎれいな店。どちらかといえば、女性にターゲットを当てている感じ。午後1時をだいぶ過ぎて行ったのだが、ほぼ満員に近かった。
付け合せは、粉チーズのかかったパスタと、ザワークラウトをベーコンと一緒に煮含めたようなもの。粉チーズと、トマト風味のソースが、なかなかマッチしていてよい。サラダはべつに付いている。ドレッシングはゴマ風味。
これに、この店では味噌汁とタクワンが付いてくる。洋食屋というのは、こだわったスープを出したりするところが多いが、いやたしかに日本人にとっては、白めしを食べるには、味噌汁とタクワンの方がいい。これは洋食屋としては、「定食屋」と呼ばれてしまう危険を孕むわけだが、あくまで現実的なのだな、この店は。
味噌汁は赤だし。京都といえば、白味噌が有名だが、赤だしが出てくることもけっこう多い。だしもうす味かと思っていたら、真っ黒なラーメンもあったりするし、要は京都というのは、名古屋が何にでも八丁味噌を使うというように、白味噌やうす味にこだわっているということではなく、その料理に合わせて、TPOをわきまえた調味料を使うということなのだ。考え方が洗練されているのだよな。実際ハンバーグには、赤だしが実によく合うと思った。
全体としてこの店、洗練されていながら現実的。二律背反をあわせ持った、なかなかのセンスと言えるのじゃないでしょうか。
手づくり洋食屋 手塚 (洋食 / 丸太町駅(京都市営)、二条城前駅、烏丸御池駅)
昼総合点★★★★☆ 4.0