2010-09-07

彩色ラーメンきんせい高槻栄町店

以前この店の支店である、高槻駅前店へ行って、それほどどうとも思わないという記事を書いたら、コメントで栄町店に行ってみたらどうですかと、大将もそちらにいるし、味が違うから、ということだったのだ。
それで今日来てみたわけなのだが、いや遠かった。
JR摂津富田の駅から歩いたのだが、20分以上かかる。
住宅街にある、ごく普通の街のラーメン屋という風情で、これが超人気の有名店とは、思えないという感じだ。

平日だったし、並ばず入れたが、カウンター6席、テーブル2卓、というくらいの広さの店内は、ほぼ満席。
メガネに野球帽を後ろ前にかぶった大将と、奥さんらしき女性と、二人で回していた。
大将は大森うたえもんをきりりと引き締めた、という感じの顔で、物事をつきつめて追求するというタイプに見える。
友達になってみたい感じがしたな。

「ラーメン」といったらどれになるかと訊いたら、それなら「極みの醤油」だけれど、人気があるのは「こだわりの塩」だとのこと。
まあしかし、僕は塩ラーメンには、あまり興味がないんだよな。
それでメニュー筆頭でもある、極みの醤油を注文。

極みの醤油、700円。

僕は高槻駅前店へ行ったときにも、同じようなのを食べたのだけれど、たしかにこちらの方が、数段おいしい。
こちらを食べると、高槻駅前店のは、すべてにおいてぼんやりしていたと感じる。
和風だしとのダブルスープなのだが、その和風だしは、控えめに奥の方にいて、ベースとしての役割に徹しているようで、味はほとんど感じない。
あくまで肉のだし、鶏だと思うが、それが前面に出ている。
それが、ただあっさりしているのではなく、かなり濃厚なコクもある。
このあっさりしながらコクがあるというのが、この店の特徴なのだな。

麺もこちらの方がうまい。
同じものなのかな、よくわからんが。
かなりのコシがある、麺が四角い形をしているのがはっきりわかるような、ちょっとトコロテンのような感じもする、そういう麺。
自家製麺だそうだが、こういう麺は、あまりほかでは見たことないかもな。

チャーシューはバラ肉をとろとろに仕上げてあって、それにカイワレ、うずらの煮玉子、メンマ、白ネギ、焼き海苔。

とまあたしかにかなりの完成度で、この店が人気なのも、うなずけるわけなのだが、僕としては、どうかな、いまいちピンと来ないところもあるかもな。

僕は「和風ラーメン」とか「塩ラーメン」とかの良さが、まだあまりよくわからないのだな。
 
和風と塩では話が別なので、まず塩から言うと、塩ラーメンがうまいのは、初めから決まっていると思うのだよな。
中国でも料理は塩味がメインであって、だからラーメンだって、中国から日本に入ってきたときは、塩味だったのじゃないかと思ったりする。
でもそれを、日本人は、自分たちが好きな調味料である醤油を使いたいと思って、ところが肉のだしと醤油というのは、肉にただ醤油をかけて食べないことでもわかるように、相性がイマイチだから、それをどうやったらうまく合わせられるのかという苦心の歴史が、ラーメンの歴史なのじゃないかと思うのだ。
それを今さら、塩ラーメンがうまいと言われても、決まってるじゃん、それ、てなもんで、どうも面白味がないように感じてしまうのだな。

和風ラーメンというのは、その延長で、醤油をうす味にすれば、肉のだしとの違和感が目立たないから、おいしく感じるということじゃないかと、僕は思ってしまうわけだ。
なんだかすごく、消極的な感じがするのだよな。
肝心のところに、踏み込んでいない、みたいな。
実際、うす味食文化の日本代表ともいえる京都のラーメンは、ガツンと濃い醤油味を、きちんともってくる。
京都では、どれもこれもうす味にするのじゃなくて、野菜を炊いたりするときはうす味だけれど、肉や魚を煮炊きするには、濃い口を使うのだ。
うす味の和風ラーメンというものは、どうもそういうメリハリが、ないように思うのだな、僕は。

まあこれは、僕の今の時点での印象であって、もしかしたらある日、一杯のラーメンとの出会いを境に、ガラリと考えが変わってしまうかもしれないのですが。

この店には、「たまり醤油(こいくち)」というメニューもあって、そちらはかなり濃い醤油味みたいなのだが、どんなものなのだか、ちょっと食べてみたい気はするかもな。


彩色ラーメンきんせい 高槻栄町店ラーメン / 富田駅摂津富田駅総持寺駅
昼総合点★★★★ 4.0