看板にいきなり、「麺の固めの注文は、お断りします」みたいなことが書いてあって、どういうことだろうかと、ちょっと思いながら入店。
カウンターと、テーブル3卓くらいの、ラーメン屋としては標準的な広さの店。
平日の7時すぎ、並ぶのかと思ったら、意外にまったく、それほど混んでいなかった。
ラーメンにはビールはつきもので、ビールあってこそのラーメンだとすら、僕は思ったりするのだが、ここは基本的にラーメン系のみのメニューで、つまみなどは一切置いていない。
ラーメンは、中華そば、ワンタンメン、それにチャーシューと麺が大盛りになるというのと、あとは冷やし中華。
ちょっと迷ったが、クチコミで評判の良さそうだった、ワンタンメンを注文。
うす味のスープ。
仙台ではラーメンはやはり、スープはうす味というのが定番なのかな。
僕がこれまで食べた、「味よし」、「北○」は、魚介のだしが入っていたが、ここは豚骨と鶏がらのみ。
うす味だが、コクはしっかりあって、かなりうまい。
これは、スパゲティーでいうならアルデンテ、生煮えにならず、火が通ったギリギリのところで、湯からあげているのだ。
これ以上固くするということは、火が通っていないまま、湯からあげるということになってしまい、まったくあり得ないということなのだな。
実際マスター、この店の店主は、大将よりは、マスターと呼びたくなるような感じの人で、接客については、やわらかすぎるのじゃないかと思うくらい、愛想のいい人なのだが、麺をゆでているときには、一転して真剣な顔つきになり、鍋を何度もかきまぜたり、手でかたさを調べたりして、細心の注意を払っているということが、ひしひしと伝わってくる。
感性の、かなり鋭いタイプの人なのだな。
ねっとりとした、味の濃いワンタン。
ワンタンメンは初めて食べたが、このワンタンは、たしかにうまいな。
もっそりした、スープに合わせてうすく味がつけられたチャーシュー、やわらかく、やはりうす味のメンマ、ゆで卵、白ネギ、それにナルト。
全体として、完成度が高く、とてもおいしいのだが、僕はまだ、仙台のラーメンというものについて、どうもイマイチ、しっくりと把握できていないのだな。
なぜこうやって、うす味なのか、東北は料理は一般に、醤油味が濃いと聞くわけだが、なぜラーメンはそうではないのか、その心が読みとれないところがある。
京都は、一般にはうす味文化と思われていたりするのに、逆に老舗のラーメンは、しっかりと醤油の味が付けられていたりして、それが京都の料理というものの、奥深さを感じさせるものだったりするわけだしな。
ほんとはまだ何軒か、仙台でラーメン、食べてみたいところだけれど、今回はこれで、仙台を離れることとなった。
中華そば 富士屋 (ラーメン / 広瀬通駅、勾当台公園駅、あおば通駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0