2010-02-05

晩酌 鯛アラ煮付け

僕は、焼き物というと、焼き物ばかり、煮物というと、煮物ばかり、続いてしまうという、バランスというものを全く欠いた性格なのだが、ということで、今日も煮付け。マダムジョイで、たんまり入った鯛のアラが、198円で売っていたので、それを醤油で煮付けてみることにした。

煮付けというと以前は、どういうものだか、ラーメンを煮たりカレーを煮たりするのと、違うような感じはするが、何だかよくわからないという、僕にとっては謎のような料理法だったのだが、今は多少はわかる。
「煮る」というと、普通、汁の量が、最低でも材料がかぶる位にはないといけないわけだが、煮付けの場合は、材料の高さの半分くらいの汁の量で、やってしまうのだ。その理由は、汁を煮詰めて、それによって材料に、きちんと濃い味をつけるということのためなのだが、それが可能なのは、魚だからなのだな。
汁が少ないので、ほとんど「蒸す」ということに近い状態になるわけだが、魚はそれでも、十分火が通るのと、さらに魚の場合、これは肉ではそうはならないのだが、魚から汁に溶け出す、何か特別な成分があるのだと思うのだが、煮ているうちに煮汁が粘り気をおびて、落としぶたをしていると、煮汁はずいぶん下にあっても、火をちょっと強めにしておけば、煮汁の泡が、きちんと上までまわるのだ。それで汁は下のほうにあっても、全体に味が付くという寸法になっていて、なのでこれは、魚の場合にのみ、許される調理法なのだ。実際、「肉を煮付ける」とは言わないよな。

煮付けの場合、煮汁の量を決めるやり方が、僕にはどうにもよくわからなかったのだが、要は、煮る時間を決めて、その時間で煮詰まるだけの汁を入れれば、それでいいのだ。
実際の量は、鍋の大きさや、火の強さなどによっても変わってくるから、実際に自分で何度かやってみて、加減を知るしかないのだが、大雑把にいうと、10分で、水1カップ。普通の魚は、だいたい10分で煮えるから、水1カップに、あと調味料、ということになるのだ。
煮付ける場合はかならず、材料を鍋に平たく、一列に置かないといけないが、そうしてあれば、煮汁がずいぶん下のほうにあるように見えても、全然関係ない。落としぶたをすれば、きちんと火が通り、味もしみるのだ。

ということで、今日は、アラを煮付けるので、アラはちょっと分厚いから、15分、煮ることにして、上の法則、じゃないが、によると、水は1.5カップ、でも、今日は酒をたっぷり入れることにしたから、水1カップに酒1/2カップにした。
本みりんと醤油は、1/4カップ、50ccずつ、砂糖はその半量、1/8カップということは、大さじ2杯くらい。
調味料は、煮詰まった時に、適当な味になるようにしないといけないから、この量は、煮時間にはあまり関係なく、ほぼ固定だな。
魚は必ずよく洗って、鯛の場合はうろこを取って、熱湯にさっと通して、また洗って、とやっておく。こうすると、ショウガなどの臭い消しは必要ないのだ。
鍋に魚を平たく並べて、醤油以外の調味料を入れて、落としぶたをして強火にかけて、沸騰したら強めの中火という感じにして、予定煮時間の半分煮る。そしたら醤油を入れて、さらに予定煮時間まで煮て、火を止めたら、出来上がり。
醤油をあとから入れた方が、味がしみやすいのだ。これは分子の大きさに関係していて、醤油や塩の分子は、砂糖の分子より、大きさが小さいので、両方が同時にあると、醤油や塩ばかりが先にしみ込んでしまって、砂糖はしみ込めないことになっていまうのだ。
最後、汁があまりに詰まっていなければ、思い切り強火にして、煮詰めてしまっても良い。

ということで、知ってる人にとっては当たり前のことなのですが、このブログを見て、一人暮らしの、まだ煮付けというものを知らない、とくに男性が、この煮付けという、日本独自の、なかなかすごい調理法を知るきっかけになったら良いと思って、酔った勢いで、くどくどと書いてしまいました。すみません。

ちなみにそうやって作った鯛アラの煮付け、かなりおいしかったです。