まあ、それほど大した味じゃないだろうということは、行く前からわかっていたのだが、なにせちょくちょく話題になるので、一度は行かないといけないだろうと、前々から思っていたのだ。鈴峯女子大前電停の北側目の前、入口の前に、黒い猫が、背中を丸くして座っていた。
ここが話題になるのは、まずとにかく安いからなのだ。塩ラーメン250円、醤油ラーメン360円、3玉入りのジャンボラーメンなんてのもあって、490円。お客はサラリーマンから家族連れ、年配の男性、女性、高校生男子、など幅広い。奥の調理場には、ほんとに、おじいちゃん、と呼びたくなるような、いかにもおじいちゃん然とした、年配の男性がいて、もちろん店主なのだろう、元気な声で挨拶している。この値段と店主の人柄、それに店の名前のネーミングのうまさで、地元の人に、好かれ、愛されている、という感じなんだろうな。
醤油ラーメンの大盛と、ぎょうざを頼んでみた。大盛だと500円になるのだが、けっこうな量で、後でちょっと後悔した。味は、一言でいうと、学食のラーメンに毛が生えた、という感じではあるのだが、麺が変わっている。手打ちだそうだが、ちょっと太めの、ラーメンというより、うどんに近いのかな、という感じ、もっそりしていて、しかもねっちょりもしていて、こんな麺、食べたことないな。
スープは鳥ガラだと思うが、酢がけっこう利かせてある。トッピングは、チャーシュー、細もやし、青ねぎという、広島の定番に加えて、ワカメときざみ海苔が、けっこうたっぷり。全体として、ちょっと和風に近い、でも独特の、今まで食べたことのない、なんだか訳のわからないパワーを発する、という仕上がりになっている。うまいのか、まずいのか、という問いそのものを、無力化してしまう、というようなパワーなんだな、これが。個性の力って、すごいな。