2009-11-29

大手町 「藤原ラーメン」

広島つけ麺の店を全国にチェーン展開する「ばくだん屋」が始めたラーメン屋。地蔵通りに出来たのは、ブログなんかを見て知っていたのだが、その2号店が本通りの西のはずれ、元安橋の東側すぐの所、前は中途半端なカレー屋があった場所だな、に出来たということで、広島の食文化を全国に発信する事業家、もしかしたらお好み焼きの「みっちゃん」以来なんじゃないか、がどんなラーメンを作るのか、チェーンのラーメン屋にさほど期待はしなかったが、興味はあったので、元安橋は地蔵通りよりは家からも近く、ってほんとはたいして変わらないのだが、行ってみることにしたのだ。長いな、一文が。

メニュー筆頭の「醤油とんこつ」、600円。マー油とネギ油と、どちらをかけるか選ぶようになっていて、マー油はこってり、ネギ油はあっさり、ということだったので、あっさりのネギ油にしてみた。店員のねえちゃんは、「マーユあぶら」と言っていたが。

で、このラーメン、けっこううまかった。予想していたよりも、だいぶうまい。狙い方が上手いんだな。こってり系の醤油とんこつに、化学調味料をばっちり利かせ、ネギ油でアクセントをつけ、で麺が、ちょっと太めの平打ち麺。チャーシューは、ぼそぼそ。ディテールの一つ一つは、これまですでにあったものだが、こういう形でまとめられたことは、なかったな。

まず一番新しいのは、平打ち麺。これは昨日、尾道の「満麺亭」で食べたのと同じタイプで、「朱華園」のカップヌードルタイプよりちょっと太く、存在感がありながら出過ぎない、という、よく出来た奴なのだが、これが広島の醤油とんこつに合わせてあるのは、見たことない。しかもただ奇をてらっているということではなく、こってりした醤油とんこつに、よく合うと思う。尾道ラーメンは県内なのに、これまで広島のラーメンと融合することはなかったわけなので、これは盲点だったとも言えるんじゃないか。

それからスープも新しくて、こってりした豚骨だし自体は、最近の新しい広島ラーメンの店に、よくあるタイプなのだが、そういう新しい店は、伝統的な広島ラーメンから脱却したい、という思いがあるんだろうな、化学調味料を使わない場合が多く、そうするとどうしても、ラーメンとして締まりに欠けた味になってしまうんだよな。それをこの店では、こだわりを捨て、伝統に則り、化学調味料をきちんと使っている。そのほうがうまいと思うよ。化学調味料を使わないこだわりというのも、もうすでに古いんじゃないかと思うな。でそこにネギ油を入れることで、アクセントをつけると共に、新しさを醸し出している。化学調味料をきちんと使っているから、またネギ油が生きるわけだ。

チャーシューも、ぼそぼそなのは、トロトロの時代は終わった、という主張だよな。

というようにこのラーメン、尾道と広島の東西、そして伝統的なラーメンと新しいラーメンの新旧を融合したとも言える、かなりよく研究され、緻密に考えられた、よく出来たラーメンだと思う。

これまた、県外に展開するのかな。ぜひしてほしいな。広島の醤油とんこつ文化を、ぜひ全国に知らしめてほしいと思う。

藤原ラーメン (つけ麺 / 本通、原爆ドーム前、紙屋町西)
★★★★ 4.0