2009-07-31

福岡舞鶴 「長浜屋台 やまちゃん 天神店」

ネットで調べて、かなり評判の良かったこの店へ行ってみた。「天神店」というのは、東京銀座にも店を出したのだそうだ。そちらはラーメンだけなのだそうだが、こちらは「長浜屋台」というだけあって、串物とか、鉄板的なものとか、あと魚市場が近いからな、魚の刺身もけっこうあって、そういうメニューの一つとしてラーメンがあるという、まさに長浜の屋台によくあるスタイル。実際この店、初めは屋台からスタートしたのだそうだ。

若い店員はみな揃いの黒いTシャツを着ているのだが、一人ジーンズにダンガリーシャツ、白い長靴というスタイルの、50代かな、もちょっと上かな、位の、ワイルドワンズの鳥塚しげき、上の写真、に髭を生やしたという感じの顔の人がいて、たぶんこの人が「やまちゃん」なんだろう、聞かなかったが、で要はこの店、この人がいいんだな。まず動きがいい。接客の先頭に立っていて、店内を常に見回していて、注文しようと思うとすっと目が合って、すぐにすーっと寄ってくる。それから注文や、人の話を聞く時の表情がいい。相手の話をきちんと受け止めていますよ、ということを明らかに示す、何ともいい顔をする。そういうことって、接客のイロハのイだったりするのだろうけど、それをきちんと実行できる人って、なかなかいないよな。またこのやまちゃんの教育が行き届いているのだろう、若い、全員男性の店員も、実にいい動きと顔をして、仕事をしていた。

当然とりあえず生ビール。

それからレバ刺し。750円。レバーは生きが良く、ぷりぷりしてうまい。かかっているタレは「やまちゃんスペシャル」というのだそうで、ゴマ油と醤油、ニンニク、他にも色々入っているのだろう。たしかにレバ刺し、ゴマ油に塩とおろしニンニク、みたいなもので、あっさり食べさせることが多いと思うが、こういうこってりしたタレで食べるのも、酒のアテには抜群で、なかなかいいな。

それから串物もちょこっと頼んでみた。ズリ120円と、バラ150円。普通に塩焼きだが、甘酢みたいなものをかけたキャベツが一緒についてきて、これがなかなかいい。焼き物の脂っこさを、絶妙に中和してくれるんだな。こういう風にキャベツを付けるのって、こちらでは普通なのかな。いずれにしても気が利いてるよな。

ほんとは酒は、ビール一杯にしておくつもりだったが、こういう気分のいい飲み屋に来て、うまいつまみを食っちゃうと、酒も進んじゃうよな。芋焼酎ロック。やっぱ九州だしね。

そしてラーメン。550円。うん、このラーメンはうまかった。長浜流に上に厚い脂の層が覆っていて、その下にコクのある、わずかに臭みのあるスープ。あまり余分なものを入れておらず、わりとストレートに勝負している感じだと思うが、うまく説明できないのだが、生き生きしている感じがして、とにかくうまい。

麺は、注文する時固さを聞かれたから、どうするのがお薦めかと聞いたら、固めにする人が多いが、普通のほうがスープとの絡みが良い、ということでそうしたのだが、細めだが極細とまではいかない太さ、これがコシがあって、またうまいんだな。チャーシューもうまかったが、夢中で食ってしまったのと、ちょっと酔っていたので、詳しく覚えてない。一気にスープまで飲み干してしまった。

あとこの店で特筆すべきことは、サインの色紙が一枚も張っていないのだ、店内に。これはこの店のポリシーなのだと思う。あのサイン色紙って、「有名人が来てますよ、この店」という、ほとんど自慢とも受け取れること以外、何も伝えていないなと前から思っていたが、それが実際こうやって一枚もないのは、実に気持ちいい。その代わり、いろんな人に頼まれたりするのだろう、ポスターは天井や壁に山ほど張ってあって、そこに一緒にサインもされてたりするのだが、これは色紙とは全然違うよな、その人が伝えたいことを、店が伝えてあげているわけなんだから。

まあしかしこの店、繰り返しになるが、居心地がよく、料理もうまく、値段も安い。ほんとにいい店。おすすめだな。

長浜屋台 やまちゃん 天神店 (ラーメン / 天神、赤坂、西鉄福岡(天神))
★★★★★ 5.0