2009-05-20

西区新庄町 「らーめん ふじもと」

以前からうまいと噂は聞いていて、行かなくちゃとは思っていたのだが、何となく二の足を踏んでしまっていたのだ。
さんまやマグロなどの魚介だしと肉のだしとのダブルスープがウリの店だが、以前家の近所のラーメン屋でひたすら脂っこくて魚臭いダブルスープのラーメンを食べて以来、ダブルスープというものにちょっと恐怖心があったのと、ラーメンのスープに隠し味として魚のだしを混ぜるということ自体は別に良いのだが、それを売り物にし、しかもその魚のだしを何種類ものなかから選べるようにするなどということは、本来隠すべきものを表に出してしまっているようで、どうも邪道という感じがしてしまっていたからだ。
しかしまあ、パンツを見せることがファッションとして通用する今の時代、そんなこと言ってるようじゃ、古いよな。

土手っぺりの目立たない場所にあるこの店、店構えも趣味がいいのか悪いのかわからない、雑然とした感じだが、店内も同様、昭和系なのかと思いきや、寿司屋とかにありそうな、一枚板のメニュー。
BGMはボンジョビ。
全く一貫性がないのだが、店主の中では調和してるんだろうな、こういうの。
魚介だしは5種類から選べるが、とりあえずいちばん右に書いてある、さんまの醤油、750円を注文。

卓上には膨大な種類の薬味と調味料。
普通のコショウに荒挽きコショウ、普通のゴマにすりゴマ、にんにく、ラー油、玉ねぎのみじん切り、玉ねぎのみじん切りを唐辛子で和えたの、背脂。
あと味の素もあった。
そうだよな、今の時代、自分で選べるのがいいんだな。
僕は今回は初めてなので、何もかけずに食べてみた。

さんま醤油ラーメン。
これが、なかなかうまかった。
背脂も浮かんでいて、全体としてかなり濃厚な、脂っこい雰囲気ではあるが、意外に脂っこく感じない。
味のトーンとしては、全面的に、魚介の味。
さんま節を使うそうだが、それを削って粉にしてそのまま入れちゃうのかな、茶色い粒々がたくさん入っていた。
かなりガツンと来る魚介風味だが、魚臭いことは全くない。
この魚介の味を、肉のだしが控えめにサポートしている感じだ。
ラーメンとしては、隠し味が前面に出た本末転倒なわけだが、本末転倒もここまで迷いなく徹すれば、爽やかと言えるな。

麺はけっこう細い。
濃厚なスープに細い麺は、博多ラーメン以来の定番だよな。
チャーシューは、というか、これはチャーシューではなく、薄切りのばら肉に薄く味を付けたようなやつなのだが、それがまた魚介ベースのスープに良く合う。
太めのもやし、青ねぎ、それにうずらの卵。

全体として、ラーメンの常識を大きく覆しながらも、材料の選び方から調理のやり方に至るまで、細心の注意を払っているのだろうなと思わせる手腕があり、かなり完成度の高い一杯に仕上がっている。
大したものだな。

らーめん ふじもと (ラーメン / 安芸長束、三滝)
★★★★ 4.0