2009-03-03

東京~広島間高速夜行バス 「ニューブリーズ号」 搭乗記

先週末、名古屋で用事があって、そのついでに東京まで足を伸ばし、行きは新幹線にしたのだが、帰りは、このところ高速バスの楽しみに目覚めたということで、東京から広島まで、高速夜行バスを使ってみることにした。
僕は夜行バスに乗るのは初めて。
眠れるものなのかどうか、かなり心配だったので、東急ハンズで「安眠まくら」

を購入して臨んだ。
バスや電車、飛行機などのリクライニングシートは、背もたれを倒しても、首と背もたれの間に空間ができてしまい、そのままだとどうしても眠りづらい。
この安眠まくらは、首に装着することにより、その空間を埋めるというものだ。
浮き輪のように空気で膨らませるようになっていて、空気を抜けば、小さく畳んで収納できる。
肌触りのいいカバーがかぶせてある。

東京から広島の夜行バスは、色々な会社がいくつもの路線を出しているのだが、僕が選んだのは「ニューブリーズ号」と言って、3列シートのタイプ。
値段は東京~広島間で11,600円と、7,000円台の路線も多い所ちょっと割高なのだが、安いバスはシートが4列で、トイレも付いていないのがあったりして、それはやはり心配だからな。

電話で予約して、一番前の窓側の席を確保。
インターネットでは、席の指定はできないのだ。
やっぱり一番前は、景色が楽しいからな。

ニューブリーズ号は、東京駅八重洲南口を夜の8時に発車して、たぶん大阪から中央自動車道に入るのだろう、三次駅を経由して、広島駅新幹線口に朝の7時52分に着くものと、夜の9時に出発して、山陽自動車道を通り、西条駅を経由して、広島駅に7時58分に着くものとの二種類がある。
僕が予約したのは9時発の、山陽自動車道経由。
トイレが付いているとはいえ、狭いトイレで用を足すのは面倒なので、夕食時の酒もビール一本で我慢し、酒を持ち込みもせずお茶にして、万全の体制で乗車に臨んだ。
そんなの普通だが。

いよいよ乗車、そして出発。
このバスは長時間走行するために作られたものだから、色々な配慮がされている。
トイレはもちろん、「サービスコーナー」というものも付いていて、水とお湯、お茶が飲めるようになっている。
3列に並べられたシートは、隣のシートとの間に人が通れるくらいの空間があって、隣の席の人のことは、あまり気にならない。
リクライニングも、かなり深い角度まで倒せるようになっていて、それでも大丈夫なように、シートの前後の間隔も広く取られている。
足をのせるフットレストはもちろん、レッグレストというのもあり、ちょっと横向きになって寝るときなどに、脚がぶらぶらしないようになっている。
毛布はもちろん尽いているし、テレビとラジオの音声が聞けるヘッドフォンも付いている。
致せり尽くせりだ。

夜の高速も、眺めがいいな、とうきうきしながらしばし走行。
首都高速の、あんなに狭い、くねくねした道を、両脇の壁や車にぶつかりもせず走り抜けていくバスの運転手は、やはりすごい。
10時20分に足柄サービスエリアに到着し、10分の休憩。

ところが。
再び走り出して、驚愕の事態が判明。
大げさだが。
上の写真の左端と上端にカーテンが写っているが、これが10時45分に「完全消灯」ということで、閉じられてしまうのだ。
運転席と客席の間がぴったり閉じられ、また横のカーテンも全て閉じられ、外が全く見えない状態になってしまう。
電気も消されて、「必要な方は読書灯を利用してください、でもあまり長時間は困ります」とのアナウンス。
どうぞ寝てください、とのことなのだ。

外の景色を楽しみにしていた僕としては大変がっかりし、またこんな早い時間に寝たことなどないものだから、どうしたら良いのか途方にくれていると、さらに、隣の隣の席のおじいさんが、いびきをかき始めた。
これは参った、寝られやしない。
耳栓を持ってくるべきだったと、大変後悔。
しばらく悶々としていたが、ここで耳栓を製作することを思いつき、ティッシュを裂き、細く丸め、なめて湿らせて耳に入れると、なかなかの遮音効果。
ようやく寝る体制に入ることができた。

夜行バスは寝られるのか、という問題だが、考えてみたら僕は普段でも、電車やバスに乗ると、うとうとしてしまうのだ。
あの揺れが、眠りを誘うのだろう。
シートもそこそこ快適だったし、安眠まくらの助けもあり、途中何回か目を覚ましたが、わりとしっかり寝ることができた。

明け方、福山サービスエリアで15分の休憩。
そして、西条駅、中筋駅を経て、僕は広島バスセンターで下車。
予定時刻より20分くらい早い、7時20分頃、到着した。

東京~広島間、新幹線だと4時間余りのところ、11時間をかける夜行バス。
急ぐときには無理だが、やはり旅の情緒は捨てがたい。
寝られることも分かったし、また今度使ってみるかも。
ただカーテンが完全に閉じられてしまうことが、何とも残念だった。

トイレは、結局、サービスエリアの2回の休憩で十分で、車内のトイレは利用しなかった。
意外に大丈夫なものなんだな。

それから安眠まくらと耳栓は、夜行バスには必須だな。