2009-03-20

舟入 汁なし担担麺「きさく」

広島の人たちの辛み嗜好のツボが、あの汁なし担担麺きさくの、中国山椒にあるとわかった以上、
http://stakano.blogspot.com/2009/03/blog-post_18.html
ってこれは僕が勝手にわかったわけだが、これは改めて、この味を確認しないわけにはいかないだろう。
ということで、今日の昼食、きさくにチャリを飛ばしたのだった。

僕はこれまで2回、この店に来たことがあるのだが、前回、頼もうと思っていたライスが品切れだったので、担担麺のダブルを頼んだら、中盤以降、辛さで口がしびれて、かなり苦しい思いをした。
ダブルというのは、麺だけでなく、辛み成分も倍になるということなのだ。
なので今日は、普通でいこうと心に決めた。
おおげさだ。

それから不安だったのが、接客。
この店に限らず、辛い麺を出す広島の店に、けっこう共通して言えることなんじゃないかと思うのだが、店員が、何というか、無愛想。
怖いんだよな、ちょっと。
広島つけ麺の人気店では、雑誌を読みながら食べたり、食べ残したりすると、怒られることがあるらしい。
この店でも、僕が初めて来た時、席が空いたら勝手に座っていいのか、券をどうしたらいいのか、よくわからずに店員に聞いたら、完全に無視された。
聞き方が悪くて、質問の意味がわからなかったのかもしれないが。

ということで、この店、僕にとってちょっと敷居が高かったのだが、広島の人のツボがここにある、と僕が勝手に思い込んでしまった以上、避けて通ることはできないのである。
べつに避けていいのだが。

汁なし担担麺普通温玉入り、540円、それにライス、50円。

担担麺というとこれまで、ゴマ風味のピリ辛ラーメン、というイメージだったものが、実はそれが日本風に翻訳された姿であり、本場四川の担担麺は、汁がなく、しかも激辛、その辛さもただ唐辛子だけでなく、中国山椒のしびれるような辛さが加えられたものである、ということを教えてくれたこの店だが、もちろんこの担担麺、ただ辛いだけでなく、きちんとおいしいのである。

まず麺が、なんともうまい。
細めの、ちょっとゴワゴワした感じで、それを硬めにゆでてある。
さらにその麺をゆでてから、床に置かれた縦長の機械の、上部に開いた15センチほどの穴に、ゆでざるごと入れて、ブーン、と音を立ててからどんぶりによそっているので、たぶん水気を飛ばしているのだと思う。
そうやって徹底的に水気が飛ばされた麺は、タレや具とのなじみが抜群によい。

タレは数種類をどんぶりに入れ、その上に麺、そして肉味噌、たっぷりの青ねぎが入る。
これをよくかき混ぜて、麺にタレと具をよくよく絡ませて食べる。
硬めの麺、辛いタレ、味のある肉味噌、爽やかな青ねぎ、これらのバランスは考えに考え抜かれたのだろう、なかなかのもので、またこれが白いご飯がによく合う。

しかし辛い。
初めはいいのだが、中盤くらいから口がしびれ、用心して普通サイズを頼んだにもかかわらず、最後はちょっと苦しかった。
暴力的と言ってもいいかもしれない、そういう辛さだ。

僕は韓国料理で経験があるのだが、辛い食べ物って、食べ慣れないうちは辛いのだが、食べ続けるとだんだん、それがおいしく感じるようになるのだよな。
味覚がそうやって適応してしまってから、今度は日本の普通のラーメンとかを食べると、逆に塩っぱいだけで、味がしないように感じてしまったりする。

しかしこの店に来る人が皆、ここに毎日のように通っているわけでもないだろうから、辛いのは、僕と同じように辛いのだろう。
たぶんそういう強い刺激を、やせ我慢することが楽しいというか、ジェットコースターに両手を上げながら乗る爽快感というか、そういうことなのだろうな。

店員も、僕もだんだん慣れてきたのかな、それほど無愛想には感じなかった。
にこりともせずに黙々と作業するというのは、昔よく「食事は黙って食べなさい」と言われたものだが、物事に真面目に取り組んでいるということを示す、一つのスタイルであるよな。

きさく (担々麺 / 舟入幸町)★★★★ 4.0