2008-12-17

広島舟入 ラーメン 「麺屋元就」


コメント をもらったので、早速行ってきたのだ。
「麺屋元就」っていい名前だな。
「新広島ラーメン」だそうである。

まずビール、生ビールがなくて缶ビールだけなのだが、と焼き餃子を注文し、メニューを研究。


この店は大きく二通りのラーメン、豚骨しょうゆの「元就らーめん」と、豚骨しょうゆと魚介系だしのダブルスープの「武蔵らーめん」がある。
さらにそれぞれに対してつけめんがある。
でも初日はやっぱり豚骨しょうゆを注文してみないとね。


「えびすビール」350円。


「焼き餃子」300円。

皿をたてに置いてくる。
たしかにこの方が見た目もいいし食べやすい。
そしてこのギョウザ、けっこうおいしかった。
ちょっと大きめで具がけっこうな量入っていて、皮はパリッと焼き上がり、中はプリッとジューシー。
それにニンニクがあまり入っていないのも良い。
ギョウザって何かというとどっさりニンニク入れたがる店が多いからな。
そういうのなんか品がなくて、僕はあまり好きじゃないのだ。

そしていよいよ、


「元就らーめん」600円。

これはなかなかうまかった。
「そうきたか」という感じ。

店主は広島ラーメンを現代風にアレンジしたいと思ったのだろう。
その「現代風」とは何か。
それがこの店主にとってはまず第一に「香油」だったのだろう。
それって一風堂 のやり方だよな。

博多ラーメン、その成立の歴史について僕は全く知らないのだが、想像するに、もともと豚骨をぐつぐつ煮出したスープでラーメンを作っていたところ、あるとき誰かが、アクセントとして紅しょうがを使うことにした。
あくまで想像だが。
紅しょうがっていうのはたぶん当時としてはハイカラっていうか、新しい感じがしてイメージが良かったことと、またその紅しょうがの味が豚骨の臭みをうまく中和し、ラーメン全体の味をまとめ上げるようなそんな機能をもっていたので、それをもって第一次博多ラーメンが完成した、みたいなことだったのだ。
と勝手に僕が思っているだけだが。
ちなみに紅しょうがの前は、キムチだったんじゃないかと思う。
韓国発だよね、あの味は。
まあいいんだけど、博多ラーメンのことは。

でも今や「紅しょうがはちょっと古いよね」みたいな時代になって、それではということで一風堂は香油と、それから味噌の味を、博多ラーメンの新たなアクセントとして持ってきている。
麺屋元就はその考えを取り入れて、広島ラーメンに香油でアクセントをつけることにした。
たれの味もオーソドックスな広島ラーメンよりは濃いめの、「これって味噌入ってますか」と聞きたくなる感じの味にした。
答えは「入ってません」だったが。

そこで問題になるのはチャーシューである。
「現代風ラーメン」のもう一つの代表的ポイントは、「とろとろチャーシュー」だろう。
これは今やどこのラーメン屋に行ってもチャーシューはとろとろだ、というくらいである。
この店でもチャーシューをとろとろにするかどうか、ずいぶん悩んだのではないかと僕は想像するわけだが、結論はまったく逆、「赤身肉のチャーシュー」なのであった。
香油にとろとろチャーシューでは、一風堂を初めとするそこいらのラーメン屋と何も変わらないことになってしまう。
だから逆を打ったのだ。
と僕は思う。

さらに麺なのだが、これが完全にオーソドックスな広島ラーメンの麺。
陽気 」とか「すずめ 」とかで使っているのと同じ、ちょっとモソモソして中細のまっすぐなやつなのである。
ここは変えずに、全くそのままにしたのだな。

と以上はすべて僕の勝手な妄想なのだが、言いたいのはこのラーメンがそうやって客にいろいろ考えさせるほど内容を持ったものだった、ということだ。
香油と赤身のチャーシューとオーソドックスな麺のバランス、なかなか良かった。
次はぜひダブルスープの「武蔵」を食べてみなければなるまい。

最後に一つ、提案というかお願いというかみたいなことがあるのだが、とここで言っても店主には届かないわけだが、新広島ラーメンの「新」というのをやめてほしい。
「広島ラーメン」でいいじゃないか。
一風堂も「博多ラーメン」と謳っているが、一風堂のラーメンはそれ以前の伝統的な博多ラーメンとはずいぶん違うはずである。
でもその違いがあったからこそ、一風堂は全国で、博多ラーメンの代表になった。

だいたい広島県外の人は、広島ラーメンなど知らないのだ。
「これが広島ラーメンだ」と堂々と全国に打って出る、そういう新しい広島ラーメンをぜひ作ってもらいたい。
とここで主張しても仕方ないのだが。
でもぜひ全国へ打って出てほしいな、広島ラーメン。

麺屋元就 (ラーメン / 舟入本町)
★★★★ 4.0