2008-10-20

広島お好み物語 駅前ひろば 「電光石火」

先週は出張に次ぐ出張の嵐で一週間にわたってお好み焼きを食べなかった訳だが、そしたら今日広島に戻って、お好み焼きが食べたくて食べたくて仕方なくなっていた。
うーん、僕もちょっとは広島人になってきたのかな。
そうだったら嬉しいんだけど。

広島駅前で仕事があって、終わってどこでお好み焼きを食べようかということになって、「電光石火」。
ふわふわしたお好み焼きを食べさせるというのをウェブで見かけて、そのうち行こうと思っていたのだ。
最近の時流は圧倒的に「パリパリ麺にほくほくキャベツ」が隆盛だが、僕はやわらかい、ふわふわとしたお好み焼きが断然好きだ。
猫屋町の「かんらん車」 しかり、僕が三八流 のお好み屋が好きなのもあのふんわり柔らかなところなのだと思う。

「ひろしまお好み物語 駅前広場」というのは広島駅前福屋の並びのビルの6階にあって、20店ほどのお好み屋が営業している。
数年前にできたということで、新しい店が多い。
前から行ってみなくちゃと思っていたのだが、今回初めての挑戦である。

焼いてくれたのはお兄ちゃん。
なかなかの好青年。
店主ではないが、もともと店主とは同じ店で修行していたそうだ。
こちらが午後3時から仕事仲間と二人で生ビールを飲みべらべら喋るのを、嫌な顔もせず相手をしてくれた。
ありがとう。

焼き方を大きく分類すればみっちゃん流 だ。
でも違うところもいくつもあって、まずキャベツの扱い方。
キャベツには、積み上げた時点で調味料の缶二つを使って味を付ける。
コショウも入っているそうだが、もう一つは塩ではないそうだ。
まあ何だかは分からないが、蒸す前の時点でキャベツにきちんと味を付けるのだ。

ひっくり返してキャベツを蒸している最中、かなり何度も場所を変えたり、皮を剥がしてキャベツの真ん中に穴を開けたりと、手をかけていた。
キャベツにむらなく火を通すためなのだろう。

それから麺。
生麺をゆでるのだが、焼きを入れる時間が短めで、ソースで味を付けていた。
片面に焼きを入れたら全体を混ぜてソース焼きそば状態。

卵は十分火を通し、最後に合体し形を整形する時に面積を小さく、縦にこんもりとするようにしていた。
うんうん、そうそう、日本の盛り付けの基本は、やっぱりそれだよね。

肉玉そば、680円。

上に書くのを忘れたが、この店の前を通る時お兄ちゃんが「ここのお好み焼き、ふわふわですよ」と声をかけてくれたのだ。
その通り、ふわふわのお好み焼き。
最後のひと口まで飽きることなく食べられる。
こしょうが程よいアクセント。
お兄ちゃんに聞いたら、ここの店主、みんながやっていることを自分もやる、というのが大嫌いな、へそ曲がりな性格だそうだ。
だからパリパリ麺とほくほくキャベツのコントラストという時流に逆らい、ふわふわのお好み焼きを目指しているとのこと。
うんうん、そのこころざしや、なかなかよし。
ぜひそれを曲げずに貫き通して欲しいと思う。

あと一つ思ったのは、みっちゃんの焼き方というのはふわふわのお好みを焼くにはあまり適していないということだ。
三八流の焼き方では、きさや の店主にしても、10日間の修行で店を開業している。
みっちゃんではそんな短期間の修行はありえないだろう。
一般に物事は、いったん全体を分割すると、それを最終的に統合するために複雑で高度な手続きが必要になる。
三八流の麺を一緒に蒸すやり方では必要としない様々な技術が、みっちゃんのように麺を本体と別に調理することで要求されるのではないかと思う。
電光石火も三八流の焼き方をすればいいのにな。
でもそんな訳にはいかないな。

電光石火 (でんこうせっか) (お好み焼き / 広島)
★★★★ 4.0