2008-08-07

汁なし担担麺 きさく


汁なし担担麺とは、読んで字のごとく、汁のない担担麺。しかし担担麺は四川ではもともと、汁がなかったのだという。それを料理の鉄人でお馴染み、陳健一のお父さん、陳健民が日本人に合うようにと、汁ありの形に改良したとのこと()。今や広島名物となりつつあるという汁なし担担麺はだから、担担麺の原点なのだ。この汁なし担担麺の専門店であるきさくは2001年にオープンしたそうだが、かなりの人気店となっているらしい。実際昼の11時半ごろ行ったらもう満員で、待っている人もいた。


汁なし担担麺480円。大盛は550円。安い。この安さも人気の大きなポイントだろう。丼の底にラー油など辛味の素を入れ、そこにゆでた麺、肉味噌、青ねぎが入っている。これをよくかき混ぜて食べる。唐辛子の辛さの他に、山椒のしびれる辛さがけっこう強く、これが一つの特徴なのだろう。麺を食べ終わって、ちょっと残った肉味噌にご飯を入れて食べると、二度おいしい。ご飯は50円で食べ放題。これも安い。

汁のないラーメンを辛いタレで食べるというのは、広島つけ麺と共通するところがある。広島つけ麺もそうなのだが、この汁なし担担麺も、おいしいはおいしいのだが、僕の趣味からすると、ちょっと物足りないものがある。要は食事に汁がないのが物足りないのだ。陳健民がそうしたように、東京の人間の多くは、やっぱり汁がほしいと思うのではないだろうか。実際Webで検索しても、東京で汁なし担担麺を食べさせる店はあまり出てこない。

それにたいして広島では、食事はべつに汁がなくてもいい、いや、汁なんかないほうがいい、と思う人が多いということなのだろう。知り合いの広島の女性が、「私は味噌汁が嫌いで、ほとんど食べない、元々お母さんが味噌汁嫌いで、あまり作らなかったから」と言っていて、本当にびっくりした。東京で、味噌汁の味噌の種類や具の種類を嫌いと言う人はいても、味噌汁そのものを嫌いと言う人に、46年間、お目にかかったことがない。そういう文化の違いが、東京と広島であるのだと思う。

きさく (担々麺 / 舟入幸町)★★★☆☆ 3.0

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