2008-05-11

今朝の読売新聞

民主党・小沢一郎党首の元秘書が、小沢党首の選挙区である岩手四区から出馬するということが書いてあった。新聞だけでは良く分からなかったのだが、何と自民党から出馬要請されたもので、「本日をもって、小沢一郎先生に挑戦することを宣言する。政策、政治手法、政治姿勢においても(小沢氏は)間違っている」と語っているとのこと。
高橋氏 衆院4区自民の出馬要請、受諾意向  : 岩手 : 地域 : YOMIURI ONLINE

小沢代表自身が立候補した場合、元秘書に負けるというのは有り得ないだろうが、雑誌などで見た所によると小沢代表は、岩手の自分の選挙区に自分以外の別の候補者を立て、自分は東京のどこかの選挙区から出馬するということを検討している節があるとの事である。元々の地盤だから岩手で勝てるのは当然として、東京でも勝てれば、小沢代表が一人で二議席を叩き出すことになる。それ自体が民主党の勝利に大きく貢献することはもちろん、さらに党首がそのような捨て身の戦法を取ってくれば、世の中に対してもアピールする力は大きく、民主党の大きな追い風にもなるだろうとの事だった。

確かにその通りだろう。小沢代表のことはぼくも昔から気になっていて、田中角栄の愛弟子として頭角を現し、若くして自民党の幹事長になったかと思ったら、東京都知事選にNHKの元アナウンサーを擁立して負けて、責任を取って幹事長を辞任、その後も自民党から政権を奪ったかと思ったら、福祉目的税を無理矢理押し通そうとして失敗、新進党は分裂、先日も福田首相と党首会談して、大連立というウルトラCを目指したが、党内の反対で頓挫、一度は党首を辞めると言ったが、結局踏み留まった。何となくいつもいい所まで行くのだが、尻すぼみで終わってしまうという印象がある。

小沢代表は昔から、「役所による規制を緩和・撤廃して、民間の力を活性化することが、これからの日本にとって必要」という持論を掲げてきていると思う。それはその通りだと思うし、先日の日銀総裁の件で、財務省出身者を二度に渡って拒否した事は、そういうこれまでの主張から考えると、筋が通っているようにも見える。それが山口の補欠選での勝利に結びついた所もあるだろう。その小沢代表が自分の政治生命を賭けて、最後の大勝負に出るとなれば、世の中は盛り上がるだろう。今回、反小沢を掲げる小沢党首の元秘書に自民党が出馬要請したというのは、そういう動きを牽制するという意味もあるのかも知れない。

今の日本の政治の状況というものは、自民党や民主党がどうした、というだけの問題ではなく、ぼくたち自身の状況のはっきりとした反映でもある。世代交代が必要であるというのは明らかだが、自民党にしても、若い安部さんが首相になったかと思ったら、あんな事になってしまったし、民主党でも前原・岡田という若い世代が党首になったが、結局続かず、上の世代に戻ってしまっている。これから自分たちが、日本が、世界が、どの様になって行かなければいけないのか、そしてそのためにはどの様にして行くのか、今問われているのはそこであり、これまでのやり方がうまく行かなくなっているのだとしたら、じゃあどうするのか、それをはっきり示す事が必要なのだろう。

「資本主義」「共産主義」というイデオロギーの対立の時代は、ソ連や東欧の共産主義国の独裁体制の崩壊で終わりを迎え、これからは自由な世界になるのかと思ったら、今度はただ経済第一主義、拝金主義になってしまっているかのようにも思える。さらに新たな独裁体制があちらこちらで生まれ育ち、中国や北朝鮮は言わずもがな、自由主義になったはずのロシアでも、またミャンマー軍事政権にしても、それはもう終わった筈じゃなかったのかと聞きたい所だが、そうではなかったらしい。結局物事を壊すだけで、新たな展望が示せない状況では、独裁体制が再生産されていくのだろう。

今日本で自民党が倒れ、民主党が政権を取ったとしても、根本的には何も変わらないだろう。同じことが違った人によって繰り返されるだけだ。一時政策新人類という人たちが一世を風靡して、互いが自分の政策を主張し、それを戦わせるという政治のあり方が標榜されたことがあったが、まぁそれが米欧のやり方であるとして、それをただ真似れば新しい時代に進めるのかと言うと、そんなに簡単なものではないだろう。今自分たちが置かれている状況を本当に受け止め、それを踏まえながら、新たに一歩踏み出していく、そういう道筋が見えていかないといけない。

大変困難な課題だが、それを見つける事が、ぼくたちの世代の責任であるのだと思う。