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2011-04-15

肉じゃが

このごろはどうしても、「日本」のことを考えていることが多くて、たぶん僕に限らずそういうひとは多いのじゃないかとおもうけれども、この「国難」ともいうべき事態に立ち至って、これから日本はどちらへ向かっていったらいいのか、そのために自分は何ができるのかということを、ついつい考えてしまうのだ。
日本を考えるというとき、どうしてもそのトップである菅首相についても、思いをめぐらせることが多いわけで、しかし菅首相というひとは、考えれば考えるほど腹が立ってくる。
とにかく国民にたいする愛情というものを感じさせないひとなのだよな。あの腐った魚のように濁った目は、目の前にあるものすら見えていないのじゃないかという気にさせる。

僕はじつは中学のとき生徒会長をやったことがあって、それは僕が生徒会の批判をしていたら、ある先生に
「そんなこと言うのならあなたがやってみなさいよ」
といわれて、売り言葉に買い言葉、
「おー、それじゃやってやるよ」
と立候補し当選してしまったのだったが、べつにはずみで立候補してしまっただけで、生徒会長になってやりたいことなど何もなかったものだから、いざ生徒会長になってみたら、何をやったらいいのかわからなくてほんとに困った。
演説だけは昔から得意だったから、集会などで話すたびにワケのわからないことを言って、全校生徒を爆笑させてはいたのだけれど、結局それだけで、大したことは何もせず、1年が終わってしまった。

菅首相もたぶん、おなじだと思うのだよな。
「首相になる」ことを目標にしてきたひとだから、首相になった時点で目標は達成されてしまったわけで、よく大学生が、大学に入学した時点で燃え尽きてしまって、何をやったらいいのかわからなくなるということとも同じようなもので、やりたいことが何もないのだ。
「トップ」というのは誰からも命令を受けない立場だから、自分がやりたいことがないと、本当にやることがないのだよな。
まあそれならそれで、早いとこ適当な花道をつくってあげて、ご卒業いただきたいわけなのだが、こうやって日々日本が沈みつつあるいま、そういうひとが首相であるということがどれほどのマイナスであるのかを考えると、まったく居ても立ってもいられない気持ちになる。

最近知り合いになったブロガーさんが、ブログを閉じることにしたのだそうで、それは震災についていろいろ書くと、あれこれ批判されるようになったからなのだそうだ。ほかにも震災直後に地震とまったく関係のない旅行記かなにかを書いていたら、「不謹慎だ」と批判されたというブロガーさんもいるという話も聞くし、実際いまブログに限らず、糸井重里も「震災以後は、批判や揚げ足とりにたいする用心を、以前の何十倍もしないと文章が書けなくなった」とツイッターで言っていたし、また雑誌のエッセイを見ていても、筆者たちはそのあたりのことかなり考えて書いているなということがよく伝わってきたりする。

まあしかしそれはある意味当然なのであって、震災で何万人というひとが死に、まだ救出も終わっておらず、これから長い時間にわたっての復興という、重い課題が待っており、原子力発電所も汚染した空気や水を垂れ流し、日本国内はおろか海外にまで迷惑をかけるという状況となり、関東のひとは余震や計画停電で不安な日々を過ごしということなのだから、みながそれについて否が応でも深く考えざるを得ないことになっているのであって、それにたいしてお前は、どうおもっているのかということを、誰だって聞きたいところだろう。
それがなにかというとすぐ「自粛」とか「不謹慎」とかいう、ひとの足をひっぱる方向にいってしまうというのが、日本人の悪い癖であるとはおもうが、以前のようにワールドカップやオリンピックのとき以外に「日本」について実感することがなかったときよりは、すくなくともそれを考える今のほうが、マシなのではないかと僕はおもう。

みんなが何とかしなければならない、何かしなければならないとおもいながらも、それでは何をしたらいいのか、よくわからないといういま、解消できないフラストレーションがからだのなかに溜まっていくわけなのだが、しかし何でも自分の欲望を満たし、自分のしたいことをするのが善いことだと、そんなことあるわけもないのに思い込み、みなが自分のことだけ考えていたときよりは、今のほうがよっぽど正常な状態にちかいのじゃないかとおもったりする。

グルメシティでは毎週木曜が「木曜の市」という特売で、そのときいつも安く出る「牛コマ肉」を僕は買うことにしていて、そういうときでもないと高価な牛肉なぞ買おうなぞとはおもわないからなのだが、それをつかって、このところ同じようなものばかり作っているなとおもいながらも、昨日は肉じゃが。
肉じゃがは海軍式で、だしは使わない。アクも取らない。調味料は砂糖と醤油のみ。しかし実際牛肉の場合は、それが一番おいしいのだから不思議なものだ。
ジャガイモとニンジンのほかに、大根と長ネギを入れるというのも海軍式。海軍のレシピでは、「肉じゃが」ではなく、「煮込み」という名前なのだ。

肉じゃがだから、汁気が飛ぶまで煮詰めるわけだが、ジャガイモは煮過ぎると煮崩れしてしまうから、煮時間は10分。10分で煮詰まる水の量は、1カップなのだな。
フライパンに材料と1カップの水を入れ、初めは砂糖だけ入れて、フタをして強火にかける。ほとんど蒸し焼きのような状態で、材料は煮汁から顔を出し、これでちゃんと煮えるのかと不安にもなるのだが、いや大丈夫なのだ。フタを閉めるから中はきちんと高温になるし、強火にかけるから沸騰した煮汁が上からかぶって、きちんと味も付く。
5分くらいたったら醤油を少なめに入れて、また火を止めるすこし前に、残りの分を足すようにする。最後はちょっと上下を返したりしながら煮てもいい。

これをすこし残しておいて、今日の昼は肉じゃが丼。これもかなりイケました。