このサイトは、おっさんひとり飯の「旧サイト」です。
新サイトはこちら
へ移動しました。
なんでサイトを移動したの?⇒ こちら

2012-04-30

「豚肉の梅干し炒め」
「菜っぱとお揚げの炊いたん」


昨日の晩酌は、「豚肉の梅干し炒め」と「菜っぱとお揚げの炊いたん」、それに焼酎お湯割りでした。

豚肉の梅干し炒めは、思い付いてやってみたんですが、とてもおいしかったです。



梅干しを炒め物にいれるって、あまり思い付かないですよね?

でもこれが、かつお節といっしょに加えると、豚肉の味が引き立って、生姜焼きよりよっぽどおいしいくらいです。



ほんとなら誰かに作って食べさせて、感想を聞きたいくらいなんですけど、ブログでは残念ながら、それができないんですよね。

下にレシピを載せますから、誰か作ってみて、感想をコメントに書き込んでくれませんか?





「豚肉の梅干し炒め」レシピ(男子1人分)

<材 料>

・ 豚うす切り肉 200g

(これは、うす切りであればなんでもいいです。僕はいつも炒めるときは、いちばん安い豚コマ肉を使います。分量も、べつに200gでなく、150gでも250gでもかまいません。肉の分量を多少変えても、調味料などの分量を変える必要はありません)

・ 玉ねぎ 4分の1個

・ しめじ 2分の1パック

・ 大葉 10枚とか。たっぷりがおいしいです。

・ 梅干し 紀州梅など大きいのなら1個、小さめなら2~3個。ペーストにしたとき大さじ1くらいになるのが目安。

・ かつお節 3g入りのよく売ってるやつ1パック。

・ 醤油 大さじ1

・ 酒 大さじ1

・ みりん 小さじ1

・ 水 大さじ1

・ 片栗粉 大さじ1

・ サラダ油 大さじ1



<作り方>

1. 梅干しは種をとり出し、包丁でトントンたたいてペースト状にし、醤油、酒、みりん、水とあわせ、よくかき混ぜて、合わせ調味料にする。

2. 豚肉には、片栗粉をまぶしておく。肉を炒めるとき片栗粉をまぶすと、うまみが逃げず、味も付きやすくなります。玉ねぎはうす切り、しめじは房に分け、大葉は細く切る。

3. フライパンにサラダ油をいれ、中火で温めて、豚肉を炒める。豚肉の色が変わってきたら、玉ねぎを炒め、さらにしめじをいれる。しめじはたぶん、そのままだと火が通りにくいので、火を弱火にし、フタをして1分ほど蒸し焼きにする。

4. 火を強火にして合わせ調味料をいれ、フライ返しを使うか、鍋返しをするかして、鍋の上下を返しながら調味料をからめ、調味料が煮詰まりなくなってきたら、かつお節をいれ、さらに全体を混ぜる。

5. 火を止め、肉を1つつまんで味見をしてみる。もし塩気が足りなければ塩を足し、全体をさらに混ぜる。(ただ味見では、「塩気がちょっと足りない」くらいにしておくのが、後でちょうどよくなることになります)

6. 皿に盛って、大葉をかける。





梅干しと豚肉をあわせた料理そのものは、僕は思い付かないんですが、焼き鳥屋の定番メニューに「ささみ梅しそ巻」がありますから、梅干しと肉とは相性がいいんですよね。

もちろん豚肉にも、バッチリ合います。

酒の肴にはもちろん、ご飯のおかずにもいいと思います。





あとは昨日は、「菜っぱとお揚げの炊いたん」。

菜っぱは、八百屋に「うまい菜」というのがあったので買ってみました。

京都で作っているそうですが、「原産は九州かもしれない」と、八百屋のおじさんは言ってました。




だしで菜っぱと油揚げを煮て、うすくち醤油で味を付ける。

七味唐辛子をふって食べます。



うまい菜の味は、「ほうれん草と白菜を足して2で割った」感じ。

調べてみたら、うまい菜は、やはりほうれん草の仲間だそうです。

ほうれん草よりアクが少ないので、こうやって煮物にしたりするのはいいのじゃないかと思います。





昨日の昼ごはんは、おとといの「梅かつおの焼きうどん」に豚肉を加えてみました。

これがとてもおいしかったので、晩酌で再度、豚肉の梅干し炒めを本格的に作ってみたというわけなんです。

調味料は、まったくおなじです。





昨日の京都は、29度まで気温が上がりました。

いきなり夏のような天気になられても、体の方はついていけず、だるくて疲れました。



でも僕は、夏が大好きです。

カーっと暑くて、汗をダラダラかくというのは、気分が高揚してきます。

それにくらべて、寒い冬は、気分も鬱々としてきます。



夏のあいだは、家の中ではパンツ一丁で過ごします。

夜寝るときは、すでにパンツ一丁です。



2012-04-29

「あさりとイカのトマトソース煮」
「ブロッコリーと卵のサラダ」
「高菜のスペイン風ごはんⅡ」



先日うちに取材に来てくれた、「おっさん本」編集スタッフの方のうち、「カメラマンさん」が39歳男性で、

「奥さんが料理が好きではないので、自分もけっこう、家族のために料理をする」

とのことだったんですね。



ところがこの料理が、いくらやっても好きになれない。

レシピを見ながらやったりもするそうですが、いつまでたっても、

「これでほんとに正解なのか、確信がもてない」

のだそうです。



僕はこのブログを、元々は「高野俊一の日記」という名前でやっていて、近況報告をするのが目的なんですけれど、自分の作った料理を載せるようになってから、新たに目標とするようになったことがあるんです。

「男性が料理の楽しさを知り、『自分もやってみたい』と思ってくれたらいいな・・・」

料理はほんとに、広くて深い世界ですから、それを女性だけに独占させておくのはもったいない。



それでこれまで、料理の「楽しさ」を伝えるにはどうしたらいいかということを、色々考えてきたわけなんですが、考えてみたらそのカメラマンさんみたいに、仕事で忙しいなか、限られた時間で、料理を作らなければいけないという男性も、少なくないのかもしれません。

カメラマンさんも言っていましたが、そういう人にとって、「手早くできる」のは大事なことなんですよね。

それでこの頃は、「短い時間でできる料理」が、僕の1つのテーマになっているというわけなんです。





昨日作った「あさりとイカのトマトソース煮」も、わりと手早くでき、手順もシンプルで、しかも失敗のない料理だと思います。

トマトソースは赤い色が華やかですから、出来あがりが豪華に見えるのもいいですよね。

ぜひやってみてもらえたらと思います。



<材料>

・あさり 1パック

(パックの大きさは色々あると思いますが、どうであっても、レシピはおなじでかまいません。砂出ししてあるものを買ってくると簡単です)

・スルメイカ 1パイ

(スルメイカは、自分でさばくのもそれほど難しくはありませんが、やったことがない場合、まずはさばいて輪切りにしたのを買ってくるのがいいと思います)

・カットトマト缶 1缶

(カットトマト缶は、生で売ってるものとちがって完熟させてあるし、値段も生のものの半額以下ですから、トマトの煮込み料理をやるには絶対にオススメです。丸ごとのトマトが入っている「ホールトマト」と、きざんだトマトが入っている「カットトマト」がありますが、カットトマトのほうが煮込むには使いやすいですね)

・ニンニクのみじん切り 1かけ分

・玉ねぎのみじん切り 中4分の1分くらい

・白ワイン カップ4分の1くらい

(白ワインは1本400円くらいで売っている、いちばん安いのを買っておくと、洋風の料理を作るのに重宝します)

・ローリエ 1枚

(ローリエも、これ1枚を入れて煮込むと、「あら不思議、ほんとに洋風!」という味になる魔法の葉っぱですから、他にハーブなどは何もいりませんから、これだけあったらいいと思います)

・塩

・コショウ

・パセリのみじん切り 好きな量



<作り方>

1. 砂出ししたあさりは、殻どうしをこすりあわせて水でよく洗う。

2. フライパンにオリーブオイル大さじ2~3くらいをいれ、弱めの中火で熱し、ニンニクと玉ねぎのみじん切りを、2~3分じっくり炒める。

3. あさりとイカをいれ、ささっと混ぜて油をなじませ、白ワインをいれフタをして、あさりが全部口をあけるのを待つ。

4. あさりが口をあけたら、あさりとイカを、箸でつまんで一旦皿にとり出しておく。(そのまま煮込むと、火が通り過ぎてかたくなってしまうからです)

5. カットトマト缶をいれ、ローリエをいれて、強火で沸騰させ、沸騰したら弱火に落とし、「フタをせずに」10~15分煮込む。

6. 煮汁が煮詰まり、量が3分の1程度になって、すこしドロッとしてきたら、ローリエをとり出し、味見をしながら塩をいれ、コショウを2~3ふりする。

7. 火を中火にし、あさりとイカをもどして、全体を混ぜなじませながら、煮汁がふたたび沸騰してきたら火を止める。

8. 皿によそい、パセリを振りかける。





あさりとイカのトマトソース煮。

これはおいしいですよ。

トマトは肉にも野菜にも、そして魚介にも合う、ほんとにスーパーな調味料ですよね。

そのトマトに、オリーブオイルとニンニク、パセリが最高にマッチして、これは「王道」といえるかと思います。





あとはブロッコリーと卵のサラダを作りました。

卵は本当は、ゆで卵を細かく砕いて入れるんですが、卵をゆでるのに13分も待てないので、オリーブオイルで炒り卵にしました。

ブロッコリーはさっと塩ゆでし、冷ましてから、卵といっしょに器にいれ、ニンニクのみじん切り、玉ねぎのみじん切り、オリーブオイル、ポッカレモン100、塩、コショウを、自分で「適当」とおもわれる量だけふりかけ、よく和えて、器にもり、パセリのみじん切りをふりかけます。

ゆで卵の方がおいしいですが、べつにこれでも悪くはありません。



酒は焼酎のお湯割り。






あとは昨日は、「高菜のスペイン風ごはん」に、油揚げを加えてみました。

作り方は全くおなじで、ただコメを炒めてから、1センチ角くらいに切った油揚げ4分の1枚くらいを加えるだけです。

これは、かんーーなり、おいしいです。





この3日ほど、見渡すかぎり雲1つない、ほんとにいいお天気です。

最高の連休ですよね。

ただ僕は、自由に仕事をしていますから、カレンダーとは関係なく、自分が休みたいとき休みます。

それで昨日も仕事をしましたが、これだけ天気がいいと、どこかへ出かけたくなってしまいますね。



昨日は買い物も、いつも通り行きましたが、僕は買い物が、1度で済んだことがありません。

かならず買い忘れたものがあり、買い直しに行かないといけないことになるんです。

昨日も「トマトソース煮を作ろう」と思って買い物へ行ったのに、肝心なトマト缶を買い忘れる始末・・・。



どこかへ出かけるときも、何か忘れ物をして、家に取りに帰ることがほとんどです。

しょっちゅう行っているサウナへ出かけるにも、毎回かならず、タオルとひげ剃りを忘れます。



原因ははっきりしていて、僕は記憶力が悪いんです。

2つ以上になると、もう憶えられません。

昔よく、元妻に買い物を頼まれたときも、1つ言われて、さらにもう1つ言われると、初めに言われたことを忘れる始末でした。



さらに「メモを取るのもきらい」ときている・・・。



ですからこれはもう、「手がつけられない」ということですね。



ちなみに「荷物を手で持つ」こともきらいです。

ですからカバンはリュック。



傘も極力ささず、持ち歩くのは折りたたみ。



ふつうの長い傘は、雨がやんだら捨ててしまいます。



2012-04-28

「厚揚げと青菜の煮物っぽい炒め物」
「高菜のスペイン風ごはん」
「梅かつおの焼きうどん」



煮物は日本人にとって、「心のふるさと」のようなものなわけですけれど、作るのに時間がかかる。

まずだしを取り、材料を下ゆでして、それからコトコト煮るとなると、なんだかんだ言って、どうしたって小一時間はかかることになる。

それで現代では、「ほんだし」をつかって時間短縮をはかることになるわけですが、「和食の命」ともいえる「だし」を工業製品に売り渡してしまうことには、僕はどうも抵抗がある。

そこで登場したのが、「煮物っぽい炒め物」という企画。



これは煮物の時間短縮を、工業製品に頼るのでなく、「炒め物」という、伝統的な手法によって解決しようという話で、たしも取らず、炒め物とまったくおなじ手順でできるので、大幅に時間が短縮。

しかも味も、ばっちり煮物と変わらずうまいです。

仕事が終わって家に帰ってから、短時間で料理をしなくちゃいけない人が、「煮物を食べたい」とかいう場合、いいんじゃないかと思います。



■ 「厚揚げと青菜の煮物っぽい炒め物」の作り方(男子1食分)

◎ 材 料

・厚揚げ 1パック

スーパーに売ってる厚揚げ、1パックの量も色々あるかとは思いますが、べつに好きなだけでいいです。この料理は厚揚げが主役なので、「ちょっと多いかな」というくらいでかまいません。


・青菜 2分の1束

青菜は、小松菜かチンゲン菜がいいです。ほうれん草は不可。水菜は△。


・豚コマ肉 100gくらい

味出し用なので、少なめでいいです。50gとかでもいいかも。豚コマ肉は、「安い」という意味ですから、冷蔵庫に豚肉が残っていれば、なんでもいいです。牛肉でも鶏肉でも可。


・ちりめんじゃこ 大さじ1くらい

べつに「すり切り」とかで厳密に計る必要はありません。「だいたいそのくらい」という意味。


・唐辛子 1本

大人はやはり、ピリ辛味がいいわけですが、お子さんがいる場合なら、これは入れずに、皿に盛ってから大人の分だけ、七味唐辛子をふるようにしたらいいと思います。


・合わせ調味料 酒大さじ1、みりん大さじ1、醤油大さじ1、水大さじ1

合わせ調味料はかならず、合わせた段階で、味見をします。アルコールがありますから、ちゃんとした味はわかりませんが、「甘さと塩辛さ」のバランスだけ見ておきます。もし甘みが強すぎれば醤油を、塩気が強すぎればみりんを足します。


・サラダ油 大さじ1くらい

・ゴマ油 大さじ1くらい



◎ 作り方

(1) 切る

厚揚げは、手で1口大にちぎります。

包丁でなく手でちぎるのは、味のしみ込みをよくするためです。



昨日は冷蔵庫に残っていたチンゲン菜を使いましたので、チンゲン菜は、葉と茎を切り分け、葉は半分に切り、茎はまず最初にタテに切り、さらにタテのうす切りにします。

小松菜の場合なら、やはり葉と茎を切り分け、葉と茎をそれぞれ半分くらいに切ってしまうのがいいと思います。



唐辛子はヘタを落とし、種を出して、細い輪切りにしておきます。

豚肉は、大きいようなら、1口大程度に切ります。豚コマ肉なら、べつにそのままでかまいません。



(2) 下ゆでする

青菜は、生のままだとうまく火が通らないし、アクも出るので、これだけはちょっと面倒でも、下ゆでした方がおいしくできます。

鍋に湯を沸かし、塩ひとつまみを振りこんで、まず青菜の茎を入れます。

湯が再沸騰してきたら葉をいれて、また再沸騰してきたら、ザルにあけておきます。



(3) 炒める

フライパンを「中火」で温め、サラダ油とゴマ油をいれて、まず豚肉を炒めます。

豚肉の色が変わったら、ちりめんじゃこと唐辛子をいれ、さらに1分ほど炒めます。



火加減は中火のままで、厚揚げと青菜をいれ、1分ほど炒めます。

ここで炒めるのは、火を通すことが目的ではなく、豚肉とちりめんじゃこ、唐辛子の味がついた油を、厚揚げと青菜になすりつけることが目的です。



(4)煮る

合わせ調味料をいれ、鍋を前後にゆすって鍋返しをするか、またはフライ返しをつかって上下を返しながら、1分ほど中火で煮ます。

さらに火を強火にし、やはり上下を返しながら、調味料が煮詰まりなくなるまで煮たら、出来あがり。



厚揚げと青菜の煮物っぽい炒め物。

これはいいですよ。

厚揚げにもしっかり味がしみていて、目隠しして食べたら、絶対に煮物と区別がつきません。

味のポイントはちりめんじゃこ。

ちりめんじゃこは、炒め物につかうと、ほんとにいい味を出してくれます。



酒は焼酎お湯割り。

和風味でも、炒め物の場合には、やはり日本酒より焼酎が合うと思います。



* * * * *



昨日は朝と昼に、手軽にできる炭水化物系を2品食べました。

これもあっという間にできて、時間がないときオススメです。



■ 高菜のスペイン風ごはん

昨日の「あさりごはん」の要領で、あさりの代わりに、「高菜とちりめんじゃこ」を使いました。

味もかなりいけます。

生米を、洗ったり水に浸したりセずそのまま炊けるので、「ご飯もの」の中では一番手軽なんじゃないでしょうか。



◎ 作り方

1.オリーブオイル大さじ2くらいを小さめの鍋にいれ、1センチほどに切った高菜とちりめんじゃこそれぞれ軽く1つかみくらいを弱火で炒めます。

2.生米150ccを、洗わずそのままいれ、1~2分炒めます。

3.給湯器の最高温度のお湯200ccと、酒大さじ1、醤油小さじ1、さらに味を見ながら塩をほんの少しいれ、かき回して米が鍋底にくっつかないようにしてやってから、フタをして、とろ火で20分炊きます。

4.5分ほど蒸らせば出来あがり。



■ 梅かつおの焼きうどん

和風の炒め物をするとき、「だし」をどうするかが問題になるわけですが、上の2つはちりめんじゃこを使ったのに対し、こちらではかつお節。

これも、かなりバッチリうまいです。

ただ、肉が余っているのがあれば、それをちょっぴり味出し用にいれたら、もっとおいしいかも。



◎ 作り方

1.梅干し1個分の種を除き、包丁でよくたたいたものを、酒大さじ1、醤油大さじ1、水大さじ1と混ぜ、合わせ調味料にしておきます。

2.フライパンを中火で熱し、サラダ油大さじ1をいれ、斜め薄切りにした10センチ長さ程度の長ネギとゆでうどん、合わせ調味料、それにかつお節3g入り1袋と、材料をすべていれます。

3.うどんをほぐすように炒め、合わせ調味料が煮詰まってなくなれば出来あがり。



* * * * *



昨日、友達のバツイチ・アラフォー女性から電話があり、妻子持ち49歳の男と付き合い始めているのだけれど、ちょっとした行き違いから、つい相手に感情をぶつけてしまったら、

「女房に小言をいわれているみたいだ」

といわれ、信頼していたはずの相手で、自分も相手の感情をできるだけ受け止めるよう、努力していただけに、ショックだったとのことでした。



男性は彼女に会うと、「疲れた、疲れた」といっては、自分の仕事や家庭の愚痴をこぼすのだそうです。

趣味の音楽プレーヤーだそうですが、仕事もリストラされ、夫婦仲も悪く、彼女としては、なんとか男性が立ち直り、自分の道を歩むことができるよう、応援したいと思っているのだとか。



僕はこの男性と年齢がおなじですから、男性の気持ちが手に取るようにわかるのですけど、要は男性は、自分は相手に癒されたくても、相手を自分が癒してやろうなどとは、つゆほども考えていないということなんですね。



男性は、彼女から「ありがとう」といわれると、「他人行儀な感じがする」といって不愉快そうな顔をするんだそうです。

僕も結婚していた頃、元妻から「ありがとう」といわれるたび、まったく同じように感じていました。

「ありがとう」というのは、「義務」や「奉仕」にたいする感謝の言葉であり、本当に親しい間柄では、そんな堅苦しいことなしに、お互いが「やりたい」という気持ちから何かをするのが大事であると、勘違いしていたんです。

そうした、「家庭の仕組み」にたいする全くの無理解が、僕の離婚の原因となったわけなんですが、男性の夫婦仲が悪くなったり、仕事をリストラされたりすることも、たぶん同じようなことなのでしょう。



「自分自身の居心地のよさ」を追求するのは、たしかに大事なことだと思うんですが、それを僕みたいに、1人で酒を飲んだり、サウナに行ったりするだけじゃなく、誰かといっしょに居心地よくなろうと思うと、それなりの「努力」が必要なんですよね。




2012-04-27

本格スペイン料理があっという間に。
「スペイン風あさりごはん」



スペイン料理は、作り方も味付けも、わりとシンプルなものが多いのが、日本人の気質に合うと思うんですね。味のベースは、オリーブオイルとニンニク、パセリに塩、くらいでやってしまうのが少なくなく、ヨーロッパの料理の「ソースを時間をかけて作る」というイメージとは、だいぶ趣きがちがいます。

スペインは、「お米」をよく食べるのも、日本人にとっては嬉しいところです。世界中を放浪した作家・檀一雄が、ポルトガル・スペインには1年以上滞在したのも、うなずけるような気がします。



スペインのお米料理は「パエリア」が何といっても有名ですが、パエリアとは別に、「アロス」と呼ばれる、土鍋や深鍋をつかい、もう少しふっくら炊き上げる米料理もあるんだそうです。なかでも「あさりごはん」は、「男性が作る料理」として知られているとのこと。

生米から炊き上げる、本格的なお米料理であるにもかかわらず、フライパン1つで手軽にでき、時間も30分ほどしかかかりません。男性がとりあえずチャレンジする料理としては、たいへんオススメです。



◎ あさりごはんの作り方(2食分)

材料は、まずあさり。200グラムくらい。べつにこれは、150グラムでも300グラムでもかまいません。

あさりは砂出ししてあるのを買ってくるのが一番簡単ですが、砂出ししていないのを買ってきた場合には、鍋に水1カップをいれ、塩小さじ1を溶かし込んだところにあさりを浸し、フタをして1時間くらいおいておきます。砂出ししたら、両手で殻をこすり合わせるようにして、よく水洗いしておきます。

お米は300cc。洗わずそのまま使います。

ピーマン1個。みじん切りにしておきます。

ニンニク1~2かけ。これもみじん切り。

あとは、給湯器の最高温度のお湯。2カップ。

お湯の分量は、米に対して1.2~1.3倍くらい。米を2カップに増やしたら、お湯は500ccくらいという計算です。

パセリのみじん切りを、1茎分くらい。

使う調味料は、オリーブオイル、塩、コショウです。



(1)
フライパンにオリーブオイル大さじ3くらいをいれ、弱火の中火で温め、ピーマンとニンニクを1~2分炒めます。



(2)
コメをいれ、さらに2~3分炒めます。そのあとあさりをいれ、1分ほど炒めます。



(3)
給湯器のお湯をいれ、いったんすこし火を強めて中火くらいにし、煮立ててアサリの口がひらくのを待ちます。アサリの口がひらいたら、火加減を弱火にし、塩をいれます。

塩は小さじ1くらいになると思いますが、かならず少しずつ入れ、味見を繰り返しながら、自分でちょうどよいと思える塩加減にしていきます。「ちょっと足りないかな」と思うくらいが適量です。

塩味が決まったら、コショウを2~3ふりします。



(4)
フライパンのフタをしてそのまま弱火で、煮立った時から時間をはかって「20分」炊き、火を止めて5分ほど蒸らせば出来あがり。



スペイン風あさりごはん。

パセリのみじん切りを振りかけます。

アサリのいい味が出て、それにピーマンの風味もきいて、たまりません。

上のレシピだと、ちょっとおこげが出来るかと思いますが、それもまた味のポイントです。失敗ではありません。




* * * * *





昨日は家で、製作進行中「おっさん本」の取材がありました。編集者の人、ライターさん、カメラマンさんが来てくれて、台所やら調理器具やら、僕が料理している風景やらを撮影し、そのあと商店街で、買い物風景を撮影。最後には、僕が行きつけのバーで飲んでる風景まで撮影するという、念のいったものでした。

おっさん飯には、僕の写真もたくさん使いたいとのこと。僕の写真を載せることが、本の販売に寄与できるものなのかどうか、僕自身にはなんとも分かりかねますが、「まな板の上のコイ」ですから、がんばってポーズをとったりしてました。



昨日は「鯛の塩焼き鍋」と、上のあさりごはんを作り、みなさんにも食べてもらいました。

いつも自分が作ったものを自分で食べて、そのおいしさをブログにアップはできても、直接証明できないのが残念だったのですが、昨日は食べてもらい、「おいしい」と言ってもらえたのが嬉しかったです。



みなさんは、色々細かな作業もあるので、がんばって仕事されてましたが、こちらは「コイ」ですから、飯を食べれば酒をのみ、気分は上々。

バーでの取材が終わってみなさんも酒をのみ、色々話をしたときに、「雑誌に連載したい」という話をしたら、いっしょにあれこれ考えてくれたのがありがたかったです。




2012-04-26

「辛子高菜の冷奴」
「チンゲン菜と豚バラ肉の炒め」



昨日作ったのは、「辛子高菜の冷奴」と「チンゲン菜と豚バラ肉の炒め」の2品。ほんとは「チンゲン菜」がメインのつもりだったんですけど、「冷奴」のほうが圧倒的においしかったです。

料理って、作ってみないと、どうなるかわからないんですよね。

おいしいはずのものがそうでもなかったり、逆に食材を買い忘れたりして、ダメかと思ったものが、予想外においしいものになることもある。

1回1回が「ライブ」だってことですよね。



「辛子高菜の冷奴」は、その名のとおり、冷たい豆腐の上に、辛子高菜をのせたものです。

ゴマ油をフライパンにひき、中火で温め、輪切りにした唐辛子をまず炒め、それから細かく刻んだ高菜とじゃこを炒める。

酒と醤油をひとたらし、すりゴマをふりよく混ぜて、水切りした豆腐の上にのせれば出来あがり。



辛子高菜の冷奴。

これは、まったく実に、「感動のうまさ」でした。

ピリ辛で、うまみたっぷりの辛子高菜とさっぱりとした冷奴は、最高の取り合わせ。

辛子高菜は、「じゃこ」をいれるのがポイントかと思います。



あとは「チンゲン菜と豚バラ肉の炒め」。

「青菜に豚肉」は、黄金の取り合わせですよね。

豚バラ肉は脂身が多いので、「カリッと焼く」のがポイントです。



チンゲン菜1茎は、茎と葉でまず切り分け、葉はさらに半分に切る。

茎はまず縦に割り、さらに縦のうす切りにする。

鍋に塩ひとつまみを振り込んだ湯を沸かし、まずチンゲン菜の茎、一呼吸おいて、しめじとチンゲン菜の葉をいれて、ひと煮したら、ザルに上げる。



豚バラうす切り100グラムくらいを、3~4等分にして片栗粉をふり、サラダ油ちょっぴりをひいたフライパンで、両面を中火でじっくり焼く。

脂が大量に出てくるので、脂が気になる人は、キッチンタオルでふき取ってもいいかもしれません。

こんがり焼けたら、強火にし、チンゲン菜としめじを戻して、合わせ調味料をいれ、よくからめれば出来あがり。

合わせ調味料は、酒大さじ1、砂糖小さじ1、醤油小さじ2、オイスターソース小さじ1、水大さじ1、片栗粉小さじ2分の1、とかいう感じです。



チンゲン菜と豚バラ肉の炒め。

甘辛く味が付いた、カリッとした豚バラ肉に、シャキシャキのチンゲン菜は、なかなかいいかんじです。

これは「ご飯がススムくん」ですね。



* * * * *



今日は、いつもよりだいぶ早い時間に、ブログを更新しているんですけど、本の制作で、取材に編集の人が、朝から家に来るんです。

午前中、家でキッチンやら何やらを撮影し、午後から商店街へ、買い物の取材、夜は僕がいつも行くバーも、取材することになっています。



それで昨日は、お昼から夜までかけて、家を掃除しました。

ピカピカのキッチン。



冷蔵庫の上もこの通り。



床は雑巾がけして、窓も拭きました。



引越しして来てから丸2年、大掃除していなかったので、ちょうど良かったです。(汚な)

マイペット1本、使い切ってしまいました。



本は、9月出版の予定が一度5月に早まったんですが、また9月に戻ったそうです。

でもこの時期に取材とかして、5月はさすがに無理ですよね。



2012-04-25

「残り物の焼きそば」


昨日は飲みに出たので、晩飯は作っていません。今日の朝飯は、冷蔵庫に入っていた残り物で、かた焼きそば。

「残り物の処理」は料理の重要な側面で、これがうまく出来るようになると、食生活はだいぶ楽になりますよね。



材料は、パエリアの時にあまっていたエビと鶏肉、しめじ、それにその前からあまっていたブロッコリーの茎。

エビは殻をむいて、背わたをとりたい人はとり、片栗粉をふっておく。鶏肉も、1口大をさらに2~3個に切り分け、塩コショウして片栗粉をふっておく。しめじは房に分け、ブロッコリーの茎は、うすく細く切っておく。



まず麺を焼きます。

大さじ2くらいのサラダ油をフライパンに中火で熱し、焼きそば麺をいれる。いったんほぐして丸くまとめ、そのままじっくり焼く。焦げ目がついたらひっくり返し、反対側も焼く。

ひっくり返すときは、フライ返しを使ってもいいですが、鍋をふると、わりと簡単にひっくり返ります。



麺を皿にとり出しておき、あらためて大さじ2くらいの油をひき、まず鶏肉、それからブロッコリー、エビ、そしてしめじを順に炒めていく。



醤油大さじ1、酒大さじ2、酢小さじ1、ニンニクとショウガのすりおろしたの(チューブ)をほんのちょっぴり、それに水カップ2分の1くらいの合わせ調味料を注ぎ込み、2~3分煮る。

最後に片栗粉大さじ1、水大さじ2くらいの割合で溶いた水溶き片栗粉をすこしずつ入れ、適度なとろみが付いたら出来あがり。

片栗粉は決してはじめから全部いれてしまわず、とろみ加減を見ながらちょっとずつ入れていくのがポイントです。



残り物は、鶏とエビでなくても、肉系のものと野菜系のものがあれば、おなじような味付けとやり方で、何でもいけると思います。焼きそば麺ではなくご飯にかければ、中華丼になりますね。



* * * * *



昨日は、いつも行く飲み屋のマスターと、韓国料理の話になり、マスター、

「韓国料理って、全部唐辛子とニンニクが入っていて、おなじ味がするでしょう」

と言うんですね。

マスターは、自分でキムチを漬けたりもするくらい、韓国料理には造詣が深いので、「謙遜」という意味合いもあるのだろうなとは思うんですが、僕はまったく逆の体験を、何度かしているんですね。

韓国へ1~2週間いて、帰ってくると何日か、日本料理がどれを食べても、ただ塩っぱいだけの、まったくおなじ味に感じられてしまうんです。



これは一言でいえば、「唐辛子に麻痺している」ということかとは思うんですが、もちろん唐辛子の成分が、舌に何日も残るわけはありませんから、麻痺しているのは舌ではなく、味を感じる「神経」だと思うんですね。



味覚って、音楽と似ているところがあるような気がするんですけど、ニンニクの味はすごく低音で、唐辛子の味は、すごく高音、とでもいうような感じがする。

韓国料理は、その重低音と高音とのあいだで、さまざまな味が、いろいろな組み合わせ方をされることになるんですよね。

だからまあ、言ってしまえばたしかに、すべてニンニクと唐辛子の味なのだけど、その中で、韓国に滞在してだんだん慣れてくると、味の違いが感じられるようになる。



ところがそういう感じ方をするようになって、韓国から日本に帰ってくると、日本料理にはニンニクも唐辛子も入っていないから、低音と高音がない、ダイナミックレンジの狭い音楽のように感じられてしまう。

そういう感じ方のままだと、日本料理の微妙な味のちがいがわからずに、ただ塩っぱいだけと感じられてしまうことになるんですよね。



日本人が、虫の音を「メロディー」のような、音楽に近いものとして感じるのに対して、西洋の人は、ただの「雑音」としか感じない、とかいうこと、よく聞きますよね。

おなじようなことが、味にもあって、味のちがいとは、ただ「甘い」とか「辛い」とかいうことだけでなく、味の「感じ方」そのものが、国によってちがったりするのだろうなと思うんです。



* * * * *



昨日は2人の、僕よりすこし年上の美熟女と、お酒を飲んだんですけれど、そのうちの1人の息子さんに、

「彼女ができない」

と言うんですよね。

息子さんにきくと、

「べつに欲しいとも思わない」

とのことで、合コンに行くとかなんとか、彼女を見つける努力をしようともしない。

お母さんの方は、「ジュリアナ世代」ですから、若いころはけっこう遊んだそうで、そういう目から見ると、息子さんがどうも歯がゆくて仕方がないらしい。



「草食系男子」という言葉が聞かれるようになって、もうずいぶんたつわけですけれど、草食系男子はどちらかといえば、否定的なニュアンスで言われることが多い。

もっとアグレッシブに、自分の欲望をストレートに貫いていけばいいところを、他人の目を気にしたりすることでそれができないのは情けない、というわけです。

それに対して若い女性は、「肉食系女子」と呼ばれ、ガンガン男性にアタックしていくという。



しかしこれは、いいことなのじゃないかと思うんですけどね。



「自分の欲望に忠実」な人たちの典型といえば、やはり「団塊の世代」の人達ということになるんじゃないでしょうか。

この世代の人達の口から、

「女なんか、やっちゃえばいいんだ」

という言葉を何度も聞いたことがあります。

たしかにそれは、アグレッシブでいいですけれど、その人達が成長し、社会で活躍し、定年を迎える、という頃になって、日本がこれだけ傾いていることも、また事実なんですよね。



それに対して、若い世代の人たちは、男女が「対等」になっているということなのでしょう。

これまで押さえ付けられて、男より低い立場に甘んじてきた女性が、男と対等な位置に上がってきたから、見かけ上、女が強くなったように見える。

でも本来、「男と女が対等だ」などということは、当たり前のことなんですから、今の若い世代の人達の状況は、「あるべき姿」になりつつあると言えるんじゃないかと思うんです。



若い世代が「結婚に積極的でない」ことや、「子供をなかなか作ろうとしない」ことについては、僕は「草食系男子」の問題とはまったく別ではないかと思っていて、要は

「年寄りが多すぎる」

ということなのでしょう。

年寄りが多すぎるから、職についても、社会保障についても、大変窮屈なことになっている。

だから僕達、上の世代は、あまり健康などについて気にしすぎて、寿命をのばそうなどとするよりも、適当に不健康なことをして、早めに死んで、若い人達に道を譲るようにしてやれば、あとは若い人達が自分たちで、素晴らしい日本を作ってくれるような気がしますけどね。




2012-04-24

初音ミクとねこふんじゃった。
「パエリア」




「初音ミク」が最近流行っていて、去年は紅白に出場するのじゃないかとすら思うほど、一般の知名度を獲得したわけなんですけど、僕は初音ミクは大して詳しいわけでもありませんが、ネットの知り合いが初音ミクが好きで、曲を教えてくれたりしているので、初音ミクの曲を、わりと前から耳にしていたということはあるんです。



初音ミクが面白いと思うのは、「バーチャルアイドル」だということなんですよね。元にあるのは、ヤマハが開発・販売した「VOCALOID」という音声合成システムと、その上で動く、ソフトウエア。女の子の歌声を自由に合成できるソフトウエアで、それを開発した会社がそのソフトに「初音ミク」という名前をつけて、あの緑色の噴水頭のキャラクター画像をつくり、あたかも「1人のアイドル」であるかのような設定をしたということなんですね。



ソフト開発会社の立場からすれば、ソフトは使ってもらわなくては売れないわけだから、1人でも多くの人にソフトを使ってもらうためにはどうしたらいいのかという、販売戦略上の作戦なのだと思うんです。女の子の歌声を合成するソフトなのだから、どうせならその女の子に名前やキャラクター設定をして、イメージがわくようにしたほうがいいだろうと。それで権利関係もゆるやかにして、使用者がキャラクター画像を使って、新たな動画などをネットなどに自由に投稿できるようにした。



そうしたら、それが大当たりして、1大ムーブメントが巻き起こったというわけなんですね。初音ミクの音声を使って、自分で作詞作曲した曲や、CGで初音ミクが踊って歌う動画が、次から次へとネットに投稿されるようになっていく。さらにそれが、日本ばかりでなく海外でも人気となり、去年はアメリカで公演が行われたり、トヨタのアメリカのCMや、グーグルのCMにまで使われるようになったりしたというわけなんです。



実際の話、初音ミクのコンサート映像とか、見てると感動があります。まず1つには、「初音ミクの可愛らしさ」ということはたしかにあって、キャラクター設定が秀逸だったということなのでしょう、今年50になるおっさんから見ても、「いいな」と思えるものがある。しかしさらに感動的なのは、そこにいる観客の盛り上がりなんですね。初音ミクの定番アイテムである「ネギ」のペンライトを振りながら、野太い声で合いの手を入れる様子は、べつにそこいらのアイドルのコンサートと変わらないのだけれど、彼らが見ているステージ上の初音ミクは、「バーチャルアイドル」だということなんです。



「バーチャルアイドル」ということは、もちろんまず、「人間」としての実態がないということなんですが、しかしそれだけではないんですね。「初音ミクは、観客自身によって作られている」ということなんです。初音ミクが歌っている曲は、プロによって作られたものではなく、観客の中の誰かによって、作られたものだということです。ですから初音ミクのコンサートで、観客が盛り上がっていることは、一般のアイドルのように、「天上の偶像」を讃えているのではなく、「自分たち自身」を讃えていることになる。「俺達って、いいよな」とでもいうような、連帯感の表明なんですよね。



ところで面白いと思うことは、それを仕掛けているおおもとにいるのが、「ヤマハ」だということなんです。ヤマハだと聞いて、すぐに思い出すのが、「ポピュラーソングコンテスト」なんですね。



ポピュラーソングコンテスト(ポプコン)は、ヤマハが主催して、1968年~1986年まで行われました。素人が、自分で作詞作曲した曲を披露して、それに順位をつけるという形で、コンテストが行われるわけですけれど、そこから錚々たる人たちが、プロになり活躍したことは、よく知られているでしょう。井上陽水、上田正樹、上條恒彦、庄野真代、八神純子、松崎しげる、中島みゆき、世良公則、などなど。新人アーティストの登竜門ともなっていたわけなんですよね。



でもこれ、なんとなく、初音ミクと似ていませんか?ポプコンも、ヤマハの狙いとしては、楽器を使う人の底辺を広げることにより、楽器の販売を促進するということが、根本にあったと思うんです。そういう狙いでやったことが、大当たりして、大きなムーブメントとなっていく。そういう意味では、初音ミクが、音声合成の機器およびソフトウエアの販売を狙いとしていることと、まったく同じだといえると思うんですよね。「ヤマハ商法」と言っては語弊があるかもしれませんが、ヤマハ一流の、1つのやり方なんだという気がします。



さらに僕は、ヤマハがこのやり方を、どうやって覚えたのかということについて思うことがあるんですけど、それは「ねこふんじゃった」なのではなかったか。



「ねこふんじゃった」は、僕などでも子供の頃、幼稚園の頃にすでに弾けるようになっていたわけですけれど、誰に教わったという覚えもないんです。幼稚園においてあるピアノで、誰かがねこふんじゃったを弾いているのを見て、すぐに弾けるようになってしまったわけなんですね。ねこふんじゃったは、黒鍵をフルに活用する曲で、それを楽譜に書けば、シャープやらフラットやらがたくさん出てきて、すごく難しく見えるものになりそうだけれど、弾いているのを見ると、目立つ黒鍵を順に押していくほうが、簡単なんですね。



「ねこふんじゃった」は、作曲者も不明で、それがいつ、どのようにして日本に伝わり、日本の子供たちがあれほど熱狂して弾くようになったのか、よくわかっていないそうですけれど、この「ねこふんじゃった」がピアノの販売に寄与した役割は、とても大きかったのではなかったでしょうか。僕もそのクチだったかもしれませんけど、ねこふんじゃったが弾けるようになったから、ピアノがやりたくなり、親に「ピアノを買ってくれ」といった子供とか、少なくなかったのではないでしょうか。また親の方にしても、子供が「ねこふんじゃった」を弾けるようになるのを見て、「そんなに簡単に弾けるようになるのなら、ピアノを買ってもいいかしら」と思ったということもあったでしょう。



「ねこふんじゃったはヤハマが流行らせた」とまでは、僕はさすがに言わないですが、そうであってもおかしくないほど、「ねこふんじゃった」はピアノの販売に貢献したにちがいありません。僕はヤマハはそれを見て、「楽器は使う人が楽しまなければ売れない」ことを痛感し、それからポプコン、さらには初音ミクへの道を歩んでいったのじゃないかという気がするんですけどね。ぜひヤマハの人に、実際のところどうなのか、聞いてみたいです。



* * * * *



昨日は「パエリア」。パエリアは言わずと知れた、スペインの代表料理です。スペインは、イタリアなどとちがって、「米」を使った料理が多いんですね。味付けも、ハーブやチーズなどをゴテゴテいれたりはせず、オリーブオイルとニンニク、それにパセリ、とかいうくらいの、シンプルなものが多くて、なんとなく、日本とセンスが似ているような気がします。僕も1回スペインに行ったとき、「バル」に並んでいる小皿料理が、どれも死ぬかと思うくらいおいしくて、ヨーロッパでいくつか行った国の中では、スペインが一番おいしいと思いました。



ちなみにスペインは、女の子もかわいいです。僕は1回、スペインからローマまでの飛行機に、セビリアの団体と乗り合わせたことがあるんですが、その人達、飛行機の離陸までと、着陸してから、ギターをかき鳴らしながら歌えや踊れやの大騒ぎ。その中にいる女の子たちが、また生き生きしていてかわいくて、まだ20歳そこそこだった僕は魂を抜かれてしまい、ローマではその女の子たちと一緒に、美術館やらどこやらへ行ったこともありました。



パエリアは、見た目豪華で、「洋風ちらし寿司」とでもいった風情、お客さんが来たときのもてなし料理とかにも最高なわけですが、作るのはそれほど難しいことはありません。材料さえあれば、それほど手間もかからずに、失敗する危険もそれほど高くなく、初めての人でもできるのじゃないでしょうか。ご飯の炊き加減が、たしかに多少、難しいといえば難しいこともありますが、それでもそれほどではありません。調味料も、スペインではパエリアを作るとき、「サフラン」を使うんですが、べつにそんなものは使わなくても、十分おいしくパエリアが出来あがります。



調味料というものは、たしかにその国その国で独自のものがあり、その国の料理をよく知っている人に言わせれば、「その調味料がなければ、その国の味ではない」ということになるんですが、べつにそんなことを気にしていては、いくつ調味料があっても足りません。手近にある調味料で何とかしながら、自分なりに世界の料理を楽しむということも、1つのやり方で、それでおかしいことはまったくないのじゃないかと思います。



パエリアの材料ですが、まずは米。これはどのくらいでもいいんですが、フライパンで作るのなら、2カップ程度がやりやすいです。ただこれだと、1人で食べるにはちょっと多すぎなので、昨日は晩と朝との2食分で、1.5カップでやりました。



上にのせる具ですが、これは檀一雄によれば、「何でもいい」のだそうです。スペインの各地で、さまざまな種類のパエリアがあり、具がたくさん入っているものから、少数のものまで、色々あるそうですから、レシピに書いてある材料にあまりとらわれず、自分で好きに取捨選択したらいいと思います。ただ絶対あったらいいと思うのは、まず「鶏肉」。これは100グラムでも200グラムでも、自分がいいだけ入れたらいいんです。それからアサリ。この2つは、「だし」という意味でも、パエリアでは重要かと思います。



他にも、赤や黄色のパプリカは、入れると彩りもきれいになりますが、昨日は省略。そのかわりふつうのピーマンを1ついれました。あとはしめじ。それからトマト。トマトは、入れるやり方も、入れないやり方もあります。オリーブオイルとニンニク、タマネギ、それからパセリは、もちろん欠かすことができません。



フライパンを中火で温め、オリーブオイルを大さじ2くらいいれて、みじん切りにしたタマネギ半~1個と、やはりみじん切りにしたニンニク1~2かけを炒めます。タマネギがしんなりしてきたら、つづいて具を、中火のまま炒めていきます。まずは1口大に切った鶏肉。それから乱切りのピーマン、しめじ。次に殻のついたままのエビ。それから8等分程度に串切りにしたトマト。最後に砂出ししたアサリ・・・という具合に、火が通りにくいものから順にいれていきます。



エビは、「背わたを取る」といいますが、これはあまりにも死にそうにイライラしますから、気が短い人はあきらめたほうが無難です。べつに背わたが入っていても死にません。それからトマトの皮も、湯剥きしたほうがていねいですが、そのままいれてしまっても、とくべつ問題ありません。



材料をすべて炒め終わったら、給湯器の最高温度のお湯を1カップいれ、そのまま煮立たせて、塩小さじ1くらいにコショウをふり、アサリの口が開くまで、4~5分煮ます。



アサリの口が開いたら、ザルで漉して、具とスープを分けます。このスープを、ごはんを炊くのに使います。スープは、お米の1.1~1.2倍、米が1.5カップなら、スープは2カップ弱になるように、お湯を足しておきます。



フライパンを洗い、あらためてオリーブオイル大さじ2くらいをいれ、弱火にかけます。ここにコメをいれて、炒めます。米が油を吸い、ツヤツヤになるまで、2~3分炒めます。



ここにさっきのスープを注ぎ、そのまま弱火で、フタをして炊きます。この炊き加減が、1つのポイントとなるわけですが、時間にして10~15分。別にフタを開けてもかまいませんから、中をのぞきこみ、スープが沸騰するのが見えなくなったら、炊き上がりだと思ってかまいません。



そのまま弱火をつけたまま、ザルにあげてあった具を、ご飯の上にならべます。アサリは、全部殻をつけたままだとちょっとうるさいので、半分ほど殻を外しておいてもいいかもしれません。具を並べたら、フタを閉め、火を止めて、それから10分ほど蒸らして出来あがりです。



パエリア。パセリをふります。レモンを添えて、それを自分でかけながら食べるのがスペイン風、という話もありますね。



酒はもちろん、白ワインならおいしいですが、べつに焼酎お湯割りでも問題ありません。